Jリーグ アルビレックス新潟

レアンドロという覚醒めた怪物。大岩監督のもと覚醒したストライカーが鹿島を優勝に導く

 今シーズンの鹿島は、逆転勝利を6回(J1で5回、Jリーグカップで1回)記録している。そのうち2ゴール差を巻き返したのはこれで3回目だ。劇的な試合展開と立ち直り能力は石井正忠前監督時代の特徴であったが、大岩監督下の鹿島にもまだ残されている。

 しかしながら、監督変更後の水がワインに変わったような変化が、レアンドロのパフォーマンスだ。今年1月にブラジルの名門パルメイラスから今シーズン終了までの期限付き移籍をしたレアンドロだが、石井前監督の元ではあまりチャンスのないバックアップ選手にとどまっていた。ピッチに上がっても、特に印象的ではなかった。

 ところが大岩監督が引き継いだ6月から、同ブラジル人選手は先発の座を獲得した。ほぼ全ての試合でゴールやアシストを記録し、すぐにチームは選手陣に新たな素晴らしい選択肢を発見することとなった。

 ブラジルではセンターフォワードとしてプレーすることが多かったレアンドロだが、現在は4-4-2体制の中で左または右サイドのワイドミッドフィルダーとして展開している。もっとも彼は自分のポジションにとどまることはせず、頻繁にセンターに流れるのだが。とにかく彼は得点(9)とアシスト(4)両部門において、首位チームでの輝きをみせている。時にここ数年の鹿島のメインプレーヤーである遠藤康をもベンチに座らせるほどだ。

 新潟戦でのレアンドロは、良いスタートではなかった。攻撃エリアで彼がミスしたボールが相手の最初のゴールに繋がった。その後もエリア内の金崎からパスを受けて大きくシュートするも最高の同点チャンスを逃している。さらにベガルタ仙台と対戦したJリーグカップ準々決勝第1戦ではレッドカードで退場となっており、予期せぬ離脱をしたばかりだった。にも関わらずレアンドロは、鹿島を9回目のJ1優勝へ近づけた勝利のヒーローとなって完全に復活した。それだけでなく、鹿島史上リーグでハットトリックを決めた12人目の選手となった(最初は1993年のジーコ、最後は2012年のジュニオール・ドゥトラ)。

 前半期には十分な説得力がなかったかもしれないが、レアンドロは今一連の試合で彼の持つ力を示している。完全移籍が真剣に検討されるべき十分以上の理由となった。

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