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W杯よりCL実績が市場を動かす。代表落選の守田プレミアリーグ移籍が示す現実

守田英正 写真:アフロスポーツ

2025/26シーズン限りでスポルティングCP(ポルトガル)との契約が満了を迎え、フリーとなっていた元日本代表MF守田英正の新天地が、2016/17シーズン以来10シーズンぶりにプレミアリーグに復帰したハル・シティに決まった。

今夏の移籍市場で、プレミアリーグの複数クラブに加え、一部報道ではレアル・マドリードからも関心を寄せられていると噂されていた守田。30代に入ると市場価値が下がると言われている欧州にあって、31歳にも関わらず、2年プラス1年の延長オプション付きという好条件での契約だ。

守田はFIFAワールドカップ(W杯)北中米大会に臨む日本代表から漏れたことで、その市場価値は下落したように見えたが、欧州各クラブはW杯よりも欧州CL(UEFAチャンピオンズリーグ)での活躍を重要視している現実が垣間見える。かつてのW杯は、選手のショーウインドー的役割を担い、そこでの活躍がビッグクラブへの移籍に繋がるケースも多かったが、出場国が48か国にまで拡大されたことで、その役割は徐々に薄れ、単なるサッカーのお祭りに変容した感がある。それは、過度なまでにド派手だった決勝戦でのハーフタイムショーにも現れ、トランプ大統領の表彰式での見苦しいまでのスタンドプレーには、純粋なサッカーファンは眉をひそめた。

欧州5大リーグのクラブにとって、W杯とCLは運営組織もレギュレーションが異なるため、単純な優劣比較はできない。それでもクラブ経営と大会運営において、CLは放映権収入やスポンサー料、チケット収入など巨額の利益をUEFA(欧州サッカー連盟)にもたらすという意味では、FIFA(国際サッカー連盟)が主催するW杯と同じだ。しかし、かつてのW杯は選手個人の価値観では国を背負って優勝を目指すキャリアの最高峰と位置付けられていたが、移籍市場では、競技レベルでは世界トップの欧州CLでの実績が優先される。そういう意味では、W杯にも出ず、しかもフリーだった守田を獲得したハル・シティは”賢いお買い物”をしたと言えるだろう。

この守田の移籍劇を通じて、W杯とCLの差を比較検証する。対照的な事例となるのが、W杯そのもので世界的な脚光を浴びながら無所属だったカーボベルデ代表GKヴォジーニャだ。


守田英正 写真:アフロスポーツ

守田英正、CLでの実績が導いたプレミア移籍

守田は2025/26シーズン限りでスポルティングとの契約を満了し、フリーエージェントとなった。同シーズンのCLではスポルティングの8強進出に貢献し、準優勝したアーセナルとの準々決勝でも先発出場するなど主力としてプレーした。リーグ戦では31試合に出場。公式戦通算ではスポルティング在籍4シーズンで166試合11得点16アシストの成績を残した。森保ジャパンでも長く主力を務め、2022W杯カタール大会にも出場したが、北中米W杯のメンバーからは漏れた。それでもプレミアリーグ昇格組のハル・シティが獲得した。移籍金が発生しない点も魅力だったとみられ、昇格組にとっては即戦力の中盤補強となった。

守田は2021シーズン途中、川崎フロンターレからポルトガル1部のサンタ・クララに完全移籍し、以降、ボランチとして経験を積み、2022シーズンにスポルティングに完全移籍。キャリアは円熟期にあり、以後数シーズンはトップレベルで戦える計算が立ちやすい。ハル・シティのような昇格組にとっては、経験とクオリティーを備えた即戦力だ。同クラブは昨季チャンピオンシップでリーグ戦6位から昇格プレーオフを制してプレミアリーグ復帰を果たし、軸となれるMFを求めていた。守田は2022年にも同クラブの獲得対象となっており、4年半越しのラブコールに応える形となった。

移籍先の決定過程も市場原理を反映している。守田は希望していたイングランドに渡り、クラブ公式SNS上で「ここに来ることができて大変うれしく思います。みなさんの前でプレーすることが待ち切れないです」とコメント。ハル・シティは8月22日のホームでの開幕戦でマンチェスター・ユナイテッドとの対戦が決まっており、守田にとってはいきなりの大一番となる。


ヴォジーニャ 写真:アフロスポーツ

ヴォジーニャ、W杯の”一発屋”がたどった南米移籍

一方、今回のW杯で大きな注目を集めたカーボベルデ代表GKヴォジーニャ(本名ジョジマール・ジョゼ・エヴォーラ・ディアス)は、グループステージ初戦のスペイン戦で幾度ものファインセーブを見せ完封(0-0)し、グループリーグ突破に大きく貢献。決勝トーナメント1回戦のアルゼンチン戦でも好守を見せて延長戦まで持ち込む活躍を見せた。

ファン投票による大会ベストイレブンにも選ばれたが、40歳という年齢もあり、欧州クラブからは見向きもされなかった。2025/26シーズンはポルトガル2部のGDシャヴェスに所属していたが、このシーズン限りで退団しており、W杯は無所属の状態でピッチに立っていたヴォジーニャ。W杯での活躍によって、最終的にチリの名門・コロコロへの加入が決まった。

ヴォジーニャは40歳で初めての大舞台を踏み、その活躍によってインスタグラムのフォロワーが急増するなど知名度向上に繋がった。コロコロのアニバル・モサ会長は7月24日、W杯での活躍だけで今回の移籍を成し遂げる資格は十分だとの考えを示し、マーケティング的な要素も否定しなかった。欧州5大リーグのクラブにとっては、登録枠や給与体系の面で40歳の選手を獲得候補とするには、あまりにも高齢で、結果、南米クラブへの移籍が現実的な選択となった。契約期間は18ヶ月と報じられている。コロコロは常にチリ国内リーグでは上位を争っており、即戦力として期待されている。

ヴォジーニャは欧州クラブからのオファーがない中、コロコロに入団したが、同クラブはチリでは常勝軍団であり、南米大陸の主要大会出場を目指す中、即戦力と知名度による商業的価値の双方を評価された形だ。W杯での爆発的な知名度はユニフォーム売り上げ増や観客動員に繋がる可能性が高いが、欧州クラブとの契約には結びつかなかった。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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