
消化試合数に多少のばらつきはあるものの、第19節までの日程を終えてシーズン後半戦へと突入する2025明治安田J1リーグ。ここまで首位に立っているのは、近年川崎フロンターレに多くのタイトルをもたらした鬼木達氏を新監督として招聘した鹿島アントラーズ。その鹿島を、昨季は下位に沈んだ京都サンガや柏レイソル、さらには6月にFIFAクラブワールドカップに臨む浦和レッズなどが追う展開となっている。
下位に目を向けると、鹿島と同様J2への降格経験のない横浜F・マリノスが最下位で苦しんでおり、さらに昨季残留争いに巻き込まれたアルビレックス新潟や、松橋力蔵新監督のもとで新シーズンを迎えたFC東京も降格圏に沈み苦しい戦いを強いられている。
今季はリーグ戦で出場機会の少ない若手選手を中心に選抜チームを編成し、関東や関西の学生選抜と強化試合を行うなど若手の育成に注目が集っている。その一方で、各クラブでは30代のベテラン選手たちの活躍も見逃せない。上位下位を問わず、前半戦ではチームを牽引するベテランの姿が目立っていた。ここでは、そんな頼れる30代選手たちの中から、特に印象的な4名をピックアップして紹介する。

植田直通(鹿島アントラーズ)
2016年を最後に国内タイトルから遠ざかっている鹿島アントラーズ。今季こそタイトル奪還を果たすべく、昨年まで川崎フロンターレを率いて黄金期をもたらした鬼木達氏を新指揮官として招聘し新たなスタートを切った。開幕戦こそ黒星スタートとなったものの、以降は白星を重ね後半戦に向け首位でのターンに成功している。そんな鹿島復権を期すシーズンで頼れる存在となっているのがDF植田直通だ。
2023シーズンに鹿島へ復帰して以降、代えの利かないセンターバックの主軸として中央に君臨。今季は第14節(町田ゼルビア戦)でセンターバックを組むDF関川郁万が負傷しパートナーが代わる事態となったが、高い対人スキルと空中戦の強さを武器に守備に安定をもたらしている。思えば昨季も前半戦は首位と勝ち点2差の2位で優勝争いに身を置いていたが、後半戦で失速し2023シーズン同様5位で終えた鹿島。同じ轍を踏まないためにも、植田にはこれまで以上にチームをそしてゴール前を締める役割が期待される。

塩谷司(サンフレッチェ広島)
2022年と2023年は3位、そして昨季は2位と直近3シーズンはいずれも優勝争いに身を置いてきたサンフレッチェ広島。狙うは優勝のみというなかで迎えた今季も、ここまで5位と上位で折り返しを迎えようとしている。そんな広島の大きな強みと言えば、いずれも日本代表経験のある3センターバックが挙げられるが、なかでも特に存在感を放っているのがDF塩谷司だ。
身体の強さを活かした守備やボールキープもさることながら、積極的にゴールを狙う姿勢から今季は前半戦で2ゴールをマーク。攻守にわたって強さと上手さが際立つシーズンを送っている。勝ち進んでいたAFCチャンピオンズリーグ2こそ準々決勝で涙を飲んだが、リーグ戦では新戦力の活躍もあり現時点で消化試合数が1つ少ないなかで上位につけている広島。悲願のリーグタイトル奪還に向け、最終ラインを支えるベテラン塩谷の働きから今後も目が離せない。
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