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アトレチコ鈴鹿でのカズの役割とは。“不祥事クラブ”からの脱却へ

三浦泰年氏 写真:Getty Images

鈴鹿の不祥事とは

2021シーズン終了後の12月、鈴鹿のクラブ運営会社を退任した元執行役員が、「当時のオーナー西岡保之氏から2020年11月29日のソニー仙台FC戦に臨む監督や選手に、わざと負けるよう指示があった」旨の内容をツイッター(現X)上で告発。加えて、クラブがこの元執行役員に2,500万円を支払ったことを明らかにした(試合は1-0でソニー仙台の勝利)。

日本サッカー史上初といえる八百長事案とあって、日本サッカー協会(JFA)は、没収試合と罰金500万円の処分を下し、さらに、告発した元執行役員がクラブに対し“口止め料”を要求したとして脅迫未遂の容疑で逮捕されるという前代未聞の事件となった。

不祥事はこれで終わらない。クラブ側が選手に持続化給付金詐欺を持ち掛けていたことが明るみとなり、さらには三浦泰年監督によるパワハラ行為が告発され、「Jリーグ百年構想クラブ」の資格が停止される事態となったのである。

本来であれば、これだけの不祥事が続けば“ジ・エンド”となってもおかしくないが、それまで運営を担っていた広告会社の株式会社ノーマークが退き、読売クラブユース出身で元清水エスパルスでもDFとしてプレーし、カズや泰年監督とも旧知の仲でもある斉藤浩史氏が社長を務める自動車部品メーカーの株式会社協同が実質的な新オーナーとなり、クラブ名も「アトレチコ鈴鹿」と変え、再出発を図る。

泰年監督は今シーズン開幕直前に辞任したものの、ヴィッセル神戸(2003-12)で活躍し、女子サッカーの強豪INAC神戸レオネッサ(2022-23)でも監督を務めた元韓国代表MFの朴康造氏を新監督に迎え、鈴鹿は今2024シーズンを締めくくろうとしている。


三浦知良 写真:Getty Images

カズが鈴鹿にもたらすもの

鈴鹿のチームは今、ピッチ内外で変革期の途上にある。そしてカズは、新宿戦のベンチ入りメンバーの平均年齢が25歳という若いチームを牽引する役割を担っている。

身から出た錆とはいえ、“不祥事クラブ”というレッテルを貼られたことによって、スポンサー集めに苦労していることは想像に難くない。クラブ名やエンブレムを新調したところで、失った信用を取り戻す作業は簡単ではない。

しかし、黎明期のJリーグを知り、セカンドキャリアでも成功した新オーナーの斉藤氏をトップに、カズがチームリーダー兼“宣伝マン”としてプレーする姿を見せることによって、徐々にではあるが、地元の支援も広がりつつある。まだ道半ばではあるものの、カズが鈴鹿にもたらすものは小さくないのだ。

カズは試合後、報道陣に対応し「下(降格)も気にしなければならないが、このクラブの目標はあくまで、クラブライセンスを取り、J3に昇格すること」と語った。その目標に到達するため、ピッチ内外を問わずチームに尽くし、有形無形の財産を鈴鹿にもたらす存在として、カズは必要不可欠なのだ。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ、現在のお気に入りはシャビ・アロンソ率いるバイヤー・レバークーゼン

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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