ワールドカップ 日本代表

森保ジャパン新しい景色目前。スペイン撃破の奇跡から見えた課題【W杯試合分析】

日本代表 森保一監督 写真:Getty Images

またも的中した森保采配

失点直後より前線からのプレスの強度を高め、攻撃機会を増やした日本代表は、後半開始前の堂安律と三笘薫の投入により更にギアアップ。後半3分に、前田が相手GKウナイ・シモン、三笘がダニエル・カルバハル、鎌田大地がロドリにアプローチし、スペイン代表のビルドアップを妨害。シモンからの浮き球パスを受けようとしたアレハンドロ・バルデに伊東純也が寄せ、こぼれ球を堂安が拾うと、このレフティーが敵陣ペナルティエリアの手前で利き足を振り抜き、同点ゴールを挙げた。

日本代表 堂安律 写真:Getty Images

後半開始早々の同点劇に浮き足立ったスペイン代表の隙を見逃さず、同6分に堂安が右サイドでドリブルを仕掛け、グラウンダーのクロスを供給。ゴールラインを割りかけたボールを逆サイドにいた三笘が残し、同選手のクロスを田中がゴールに押し込む。第1節のドイツ代表戦と同じく、途中出場の堂安と三笘が得点に絡んでみせた。

日本代表 三笘薫 写真:Getty Images

瞬く間に逆転されたスペイン代表のルイス・エンリケ監督は、モラタに替えてマルコ・アセンシオ、ニコ・ウィリアムズを下げてフェラン・トーレスを投入。攻勢を強めようとしたが、ハイクロスにも対応できるモラタを下げてしまったことで、スペイン代表のサイド攻撃の威力が半減。5バックと4人の中盤で、自陣ペナルティエリア手前やゴール前を堅める日本代表の守備を崩しきれなかった。

後半開始時の両チームの布陣

攻撃的なサイドバック、ジョルディ・アルバやFWアンス・ファティをエンリケ監督が投入した直後に、DF冨安健洋をピッチに送り込んだ森保監督の采配も的中。右ウイングバックを務めた冨安も然ることながら、左ウイングバックの三笘も指揮官の起用に応え、屈強な対人守備で逃げ切りに貢献した。両監督の明暗がくっきりと分かれた一戦と言えるだろう。

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名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

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