プレミアリーグ アーセナル

チェルシーとアーセナル。2チームの明暗を分けた変化対応力を比較

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ビッグ4。これがかつてプレミアリーグの強豪を表現したワードだった。しかし、そのビッグ4に属した2チームが今では大きく差が開いてしまった。

変化に対応できるチェルシーと対応できないアーセナル

チェルシーとアーセナル。この2チームの明暗を分けたポイントは「変化」だったと私は見ている。「イノベーションのジレンマ」に打ち勝った者と打ち負けた者。そんな対照的なチームとなってしまったこの2チームについて、監督・補強・戦術の3点に触れながら深掘りしていこうと思う。

アーセン・ベンゲル(アーセナル1996-2018)写真提供: Gettyimages

監督の変更

アーセン・ベンゲルの長期政権がある意味特殊すぎた面は否定できないが、とにかくアーセナルは監督を代えないという印象が大きい。ベンゲル時代は毎シーズンチャンピオンズリーグベスト16までは確約されたがそれ以上がないこと、ウナイ・エメリ時代は単純に魅力的でなく弱かったことで監督交代の声が飛び交った。しかし、その決断は決して早いとは言えない。

対するチェルシーは、過去10年間を振り返っても暫定監督除いて計7名もの監督が就任している。その時代に合ったトレンドと洞察し、チェルシーに欠けているものを補える監督によって1歩1歩歴史を刻んでいった印象が伺える。

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補強の積極性

過去数年間の補強を振り返っても、強くなるため・変化するための積極性はチェルシーの方が長けている。今シーズンのローンバックした選手の躍動はこれまでのチェルシーとは異なる化け方をしたが、通常チェルシーは国内国外別け隔てなく実績のある選手の補強を行っているのに対し、アーセナルは国内には全く目を向けず、国外からの実力者にしか興味がないように感じられる。

プレミアリーグのみならず、他国のリーグへ拠点を移すというのはピッチ上での話だけでなく、言語・文化・歴史的背景など周辺環境など成功するために必要な要素は多い。「海外の実力者に大金を叩く=強く生まれ変われる」という古い定説を未だに信じているアーセナルに今のニコラ・ぺぺはどのように映っているのだろうか。

アントニオ・コンテ(チェルシー2016-2018)写真提供: Gettyimages

戦術の柔軟性

今の時代、試合中にでもシステムの変更や細かな微調整を加えることができてこそ試合を制することができると考える。もしかすると、どっしり一枚岩で自分たちのやるべきことを90分継続して好成績を残したのは、ミラクルレスター以来表れていないのかもしれない。この柔軟性こそ生き抜くための秘訣であるが、柔軟性はチェルシーの得意技だろう。あれだけの監督たちによってそれぞれのメソッドを浸透させられたのだから変化に寛容的だ。中でも’16-’17シーズン、アントニオ・コンテによってチェルシーが3バックをベースにリーグ制覇を成し遂げ、それ以降プレミアリーグの他のチームも3バックを採用するといったリーグ全体の戦術トレンドを塗り替えるほどの影響力があったことも忘れてはならない。

対するアーセナルは柔軟性に関しては皆無だ。ベンゲル時代の終盤からエメリ時代にかけては変化に対応する術を持ち合わせておらず、下位チームに勝ち点を取りこぼす試合が散見された。しかし、昨年12月ミケル・アルテタがチームに就任し数試合だけでもチームのやろうとしていることは過去よりも明確化されている。少なくとも攻守分離現象はなくなったと見ていいだろう。トップ4入りを焦点に合わせ今は1ポイントでも多くの勝ち点を獲得したい。