ラ・リーガ レアル・ベティス

DR.TRIBE【試合診断書】ELグループステージ ミラン対レアル・ベティス

大会:ヨーロッパリーグ
カード:ミランvsレアル・ベティス
スコア:1-2
担当医:菊池大将(@yukkenokonoko
【分析内容】
・マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM)
・ザ・ハード・ワーカー(THW)
・モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP)
・両チームの攻撃vs守備
・両チーム監督
・主審


マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM):ジョバンニ・ロ・チェルソ

ミランのプレスの強度が低かったこともあるが、素早いポジショニングからボールを受けて展開するボールはミランを苦しめた。2列目からの飛び出しも効果的で、タイミングの良い抜け出しはベティスに多くのチャンスをもたらした。1ゴール1アシストと結果も申し分ない。

ザ・ハード・ワーカー(THW):ウィリアム・カルバーリョ

プレッシャーのかかるポジションではあるが、多くのパスを正確にさばききった。彼のフィジカル能力の高さがミランを苦しめ、1枚はがしてからは目を向くことでミランは窮地に陥った。

モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP):ファビオ・ボリーニ

前半の45分間プレー。髪色は目立ったが、プレーではほぼ何もできず。ミランでの居場所を失うのは時間の問題か。


ミランの攻撃vsベティスの守備

この試合でも最後方からしっかりとつなぐ意識で入ったミラン。インテル戦との違いがあるとすれば、ベティスがゴールキックの際に受け手全員をケアしていたため、ロングボールを蹴る機会があったこと。

ベティスはサイドにボールを誘導しながら、局所的にプレスをかけてボールを回収。ミランは前線が受けに下がって、パスコースを作ろうとしたがベティスの攻撃時の立ち位置を利用したプレスに苦しめられた。ミランは前半の内にボリーニを右サイドにおいて、サム・カスティジェホを中央の2ライン間寄りでプレーさせようとしたが、彼にボールが入ってからの選択肢に乏しかった。

後半は2枚代えを敢行し、3バック気味の変則的なシステムを採用。ベティスの3-5-2に対してミラーゲームのような展開に持ち込む狙いだったが、1対1の局面でベティスがことごとく勝利したため作戦変更。3-4-3など、局面に応じてシステムを変更することで浮いた選手を作り出そうとした。ベティスとしては、5-4-1に切り替えたことでオーガナイズに3-5-2の時よりも無駄があったため、改善の余地はあるだろう。

また、スソをインサイドハーフ気味のポジションでプレーさせることにより、2ライン間でボールを受けることに成功したミランは、5-4-1に切り替えたベティスの脇をついて1点を返すことに成功した。その後もバルトラが2ライン間をケアすることで生まれたベティスのマークの受け渡しのずれを狙ったが、サム・カスティジェホの退場で試合は終わった。


ベティスの攻撃vsミランの守備

ミランと同じく、基本はボールを持つことを主眼に置いたベティス。ビルドアップ時に工夫を見せた。3バック中央のマルク・バルトラを1列上げ、シジネイとアイサ・マンディが大きく開く。両ワイドは開いてミランの両SBをくぎ付けにすることで数的優位を持続的に作り出した。ミランはベティスの攻撃に対して基本4-1-4-1のブロックで。パスコースを切りながら最終ラインを高くして応戦。しかし、ボールホルダーへのチェックが甘く、DFラインの裏やサイドのスペースを使われた。インサイドハーフが食いついた際に、ベティスがビリアの脇のスペースを効果的に使えていた点もミランを苦しめた。

ミランの選手がベティスの選手に数的優位を活かされてはがされ続けたことも大きい。恐らく選手のモチベーションもかなり落ち込んだ。

後半の入りは選手を入れ替え、恐らくサイドでの優位性を保つために4-4-2のようなブロックで応戦したミラン。しかし、中盤での数的不利と、ベティスのワイドがインナーラップをして中盤がサイドに流れることであっけなく攻略された。

最終盤は、人数をかけて攻撃を仕掛けるミランに対して5-4-1の守備ブロックから、前線へのロングボールでカウンター主体に。数的不利のミランに対して冷静にプレーしていれば、とどめを刺す3点目も取れただろうが、カスティジェホが退場してくれたことでその必要もなくなった。


ミラン監督:ジェンナーロ・ガットゥーゾ

試合の入りは、ベティスへのリスペクトを欠いたと言えるだろう。中盤で数的不利を作り出され、カスティジェホとボリーニが受けに下がったものの、何もできなかった。ワイドを攻略された点に関しても修正が少し遅い。プレスの強度が低かったことは明確で、最後まで修正されなかった点は、彼の精神に反するのではないだろうか。ただ、後手後手になったとは言え、違いを作り出そうとした点はインテル戦から改善されたとも言えるだろう。


ベティス監督:キケ・セティエン

ミランのシステムを研究し、試合を通して試合の主導権を握ることができた。特に数的有利を作り出すオーガナイズの落とし込みは流石。中央がフリーになるというリスクもあったが、見返りはそれ以上のものがあった。得点力不足が叫ばれているが、今日のような展開に持ち込むことができれば、徐々に改善するはずだ。


主審:バス・ナイハイス

序盤はベテランらしく正確かつ円滑に試合を進めていたが、徐々に暗雲が立ち込めた。ベティスの2点目は存在しえないオフサイドによって取り消されるなどミランに有利な判定が続いたかと思えば、ゴンサロ・イグアインはエリア内で手をかけられて倒されたがノーファウル。90分にはカスティジェホがエリア内でタックルを受けたが、これまたノーファウル。ディフェンダーは確かに足に直接はいっていないが、ボールに触れておらず、結果的にカスティジェホの足を体ごと狩る形になった。欧州カップ戦でのVAR適用が待ち遠しい。




名前:菊池大将
趣味:サッカー観戦、映画鑑賞、読書
好きなチーム:ACミラン
幼少期に父親の影響でミランが好きになりました。アイドルはシェフチェンコ。パッション、データ、経済、カルチャー、サッカーの持つ様々な表情を見るのが好きです。よろしくお願い致します!

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