プレミアリーグ ウェストハム・ユナイテッド

DR.TRIBE【試合診断書】プレミアリーグ開幕戦 リバプール対ウェストハム・ユナイテッド

大会:プレミアリーグ
カード:マンチェスター・ユナイテッドvsレスター・シティ
スコア:2-1
担当医:ペペ土屋( @PPDOLPHINS
【分析内容】
・マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM)
・ザ・ハード・ワーカー(THW)
・モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP)
・両チームの攻撃vs守備
・両チーム監督
・主審


マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM):サディオ・マネ

開幕戦で2得点の活躍。チームの快勝に貢献した。新シーズンから10番を背負うセネガル代表のエースはシュートの精度もさることながら、緩急のついたドリブルやチームメイトとのコンビネーションで相手ディフェンスを切り裂いた。ナビ・ケイタとの相性も良好だった。

ザ・ハード・ワーカー(THW):アンドリュー・ロバートソン

抜群のタイミングで攻め上がり、先制点をアシスト。2点目のクロスボールの精度も高かった。守備でもマイケル・アントニオを沈黙させ、ほとんどパーフェクトなパフォーマンスを披露した。

モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP):マルコ・アルナウトビッチ

チーム全体が5本放ったシュートの中の2本は彼のものだったし、いい飛び出しからリバプールのゴールを唯一脅かしたのも彼だったが、エースとしてもの足りない出来だったことは否定できない。ゴール前まで迫るシーンが少なすぎた。


リバプールの攻撃vsウェストハムの守備

リバプール:GKのアリソン・ベッカーからビルドアップを開始するシーンも多かった。ここは昨シーズンからレベルアップした部分。足元の技術に優れたブラジル人GKの加入は、非常にポジティブな効果を生み出していた。

相手が1トップだったこともあり、アンカーに入っていたジョルジニオ・ワイナルドゥムはCB間に下がり切らず、2CBvs1トップの数的優位を活かして組み立てていた。対峙するウィルシャーのマークをずらすために、ワイナルドゥムとミルナーがポジションを入れ替えることも頻繁にあった。

3トップは相手4バックのゾーンのシーム(切れ目)にそれぞれがポジションをとって4人全員をくぎ付けにし、SBの攻め上がりを促した。インサイドハーフで先発したケイタは、ボール保持時はトップ下のようなポジショニングで相手の2ライン間でボールを引き出していた。

ウェストハム:4-4-1-1に近い守備隊形でリバプールに対抗しようと試みた。ディフェンスラインはペナルティーエリア幅をキープしてラインを下げすぎないことを意識していたように見えたが、そのズレを突かれて失点。

リバプールのSBの攻め上がりに対して両SMFが最初からついていきすぎて、6バックに近い形になるシーンが前半には散見されたが、後半にそれを修正。プレスの開始位置を少し高めに設定して全体の押し上げを試みた。

強力なリバプールの3トップを最後まで自由にプレーさせてしまった。個人能力で劣るにもかかわらず、コンパクトネスを欠いて、スペースを与えすぎてしまった。


ウェストハムの攻撃対リバプールの守備

ウェストハム:CBからのビルドアップの際にサポートに入っていたのはフランク・ノーブルで、デクラン・ライスはジャック・ウィルシャーと並ぶような高さのポジションをとることも多かった。

多くの場合はフェリペ・アンデルソンの個人技によって局面を打開しており、チームとしてリバプールを脅かしたのは、アンジェロ・オグボンナからアルナウトビッチへのロングボールでシュートまで持ち込んだシーンくらいか。

リバプール:基本的にはネガティブトランジション(攻→守の切り替え)の局面で威力を発揮するチームであり、その時点でボールを奪い返すことも多いが、守備時は4-3-3のゾーンで守ることが多く、フィルジル・ファン・ダイクもジョー・ゴメスもスピートがあり、新たに加入したアリソンも守備範囲が広いため、全体を高めに設定していた。

強烈3トップは守備でも存在感を発揮し、彼らがいることでウェストハムの両SBは攻撃参加を躊躇(ちゅうちょ)していた印象。

唯一気になったのはセットプレーの守備。危ないシーンには至らなかったが、早い打開で修正が必要だろう。


リバプール監督:ユルゲン・クロップ

ほぼ完璧な内容で開幕戦を勝利で飾った。新戦力のケイタとアリソンを先発出場させ、両者ともに非常にポジティブなパフォーマンスを披露した。

ロベルト・フィルミーノを下げてジョーダン・ヘンダーソンを投入してからは、ケイタを左WGで試し、試合終了間際に出場させたダニエル・スタリッジもファーストタッチで得点するなど、大満足の試合になっただろう。


ウェストハム監督:マヌエル・ペレグリーニ

移籍市場で活発な動きを見せ、多くの選手を新たにチームに加えたが、ペレグリーニ監督の目指すサッカーには程遠い内容だった。

丁寧にパスをつないで相手を崩しにかかるスタイルを、どのチームでも創り上げてきたチリ人の知将は、前半押し込まれたポイントをすかさず修正するさすがの手腕を見せたが、彼の哲学を落とし込むには時間がなさ過ぎた。


主審:アンソニー・テイラー

ワイナルドゥムのパスを“カット”してウェストハムのチャンスを演出するシーンがあった。リバプールの3点目も微妙な判定であり、オフサイドの判定でもおかしくはなかった。しかしリバプール前半に2点取ったこともあり、落ち着いたレフェリングしやすい試合だった。