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【TRIBE BLOG】W杯の前哨戦。代表ウィークで注目したい3つのこと

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 今回の担当は、レアル・ベティスサポーター(ベティコ)の、ぺぺことフットボールトライブ・ジャパン副編集長の土屋一平です。

 代表ウィークに入った今週、日本代表は仮想セネガルとしてマリ代表と、仮想ポーランドとしてウクライナ代表と対戦する。バヒド・ハリルホジッチ監督は今回の代表メンバーに岡崎慎司と乾貴士を含めなかった。

 ハリルホジッチ監督は前線から積極的にプレッシングをするスタイルを志向しているため、豊富な運動量とチームとして規律正しくプレーできる選手を好んでいる。乾と岡崎は両者ともこの二つのことを問題なくこなせる。乾は間違いなく、現在最も活躍している日本人選手であり、岡崎も故障こそあったもののきちんと結果を出しているし、何よりもワールドカップに2大会出場している経験もある。つまりこの2人はメンバー入り確実だと考えていいのではないだろうか。

 そこでまず注目したいのが柴崎岳だ。現在ヘタフェでも出番が少なく、所属チームで出場していることを重要視するハリルホジッチ監督としては、今回の招集にも二の足を踏んだかもしれないが、彼の持っているクオリティは本物だ。世界屈指のレベルを誇るリーガ・エスパニョーラにスムーズに対応し、テネリフェに加入した当初に比べれば明らかに守備面でも成長している。特に堅い守備をベースとしたチーム作りをするヘタフェではトップ下やサイドを務めることが多く、攻撃面で違いを生み出すことを期待されている。彼の知性とビジョンは現在代表チームに欠けている(ハリルホジッチ監督があえてそういう選手を選んでいない)創造性をチームにもたらすはずだ。

 ハリルホジッチ監督が就任して以降、退屈だとか守備的すぎるだとかいった批判が向けられることの多い日本代表。しかし彼の採用しているスタイルは、あくまで「スタイル」のひとつに過ぎず、結果が出ていないならば理解できるが、結果が出ているにもかかわらず批判されるべき類のものではない。ワールドカップ出場を決めた、アジア最終予選のオーストラリア戦などは素晴らしい試合だったではないか。その一方で、称賛の声が多かった「攻撃的なスタイル」を貫こうとした前任者のアルベルト・ザッケローニ氏は、W杯本大会で何も成し遂げられなかった。ハリルホジッチ監督はW杯で勝つために、最も現実的なスタイルを用いていると言える。日本代表は客観的に見れば、間違いなくこの大会で一番弱い部類に入る代表チームだ。つまり格上相手に勝たなければ、グループステージ突破はできないことを覚えておかなければならない。

 親善試合で手の内を明かすような、愚かな監督などいないと考えたほうがいい。それはハリルホジッチ監督も同じだ。しかし、すべての情報を隠すことはできない。ヒントがあるはずだ。その中で注目したいあとの2つのことは、誰が先発を務めて、選手個々のレベルで身体的特徴もプレースタイルも違う相手にどのように対応するのか、という点だ。日本代表で長くプレーしていなかった選手や、初招集の選手を起用することを匂わせているだけに、どんなヒントを与えてくれるのか気になるところだ。

 W杯はすぐそこまで来ている。

担当:土屋一平

Twitter:@PPDOLPHINS