プレミアリーグ エバートン

選手がクラブを超える力を持ち始めた。プレミアに蔓延する“ボイコット問題”

プレミアリーグに蔓延する“ボイコット問題”

著者:ニール・ハンフリーズ
イギリス・ダゲナム出身。シンガポールのベストセラー著者の一人。小説4作品を執筆し「プレミアリーチ(2011)」は英メディア「FourFourTwo」の2012年の英国年間最優秀フットボール小説賞を受賞した。テレビ番組での脚本やホストも務め、シンガポール、マレーシア、オーストラリア、英国といった国々でも幅広く活躍している。
Twitter: @NeilHumphreys

 あなたが自分のオフィスワークに不満を抱いており、ストライキすることを決断するとしよう。あなたは毎日オフィスに行くことを止めるとする。だが、まだ会社との契約があるため、会社はあなたに週給10万ポンド(約1,400万円)を支払わなければならない。

 たとえ同僚があなたの仕事までしなければならないとしても、あなたはそれを気にかけることさえしない。自己中心的だ。そんなあなたは家でゆっくり過ごし、10万ポンドを手にするのだ。

 そんな状況が続けば、あなたは会社をクビになるだろう。あらゆる仕事や事業では常識的なことである。そう、プレミアリーグを除けば。

 プレミアは強欲さと身勝手さがリーグ内に存在していることを恥じるべきだ。プレーを拒否する、利己的な選手たちの存在が彼らをサポートしてくれるファンたちを傷つけている。

 今シーズン、リバプール所属フェリペ・コウチーニョは、クラブで全くプレーしていない。彼は怪我が理由だと言い張っているが、そんな中ブラジル代表として母国のために出場した。さらに驚くべき事に、彼はその試合で素晴らしい活躍を見せ、エクアドル戦ではゴールも決めた。だが、彼のバルセロナ移籍は実現せず、リバプールに留まることになった。

 リバプール戦でのアレクシス・サンチェスのパフォーマンスは過去最低ともいえる低調なものだった。彼もまた、マンチェスター・シティへ移籍することができず、本人の希望に反して、アーセナルに残留することになった。

 ロス・バークリーはエバートンでのプレーを拒否し、ストライキを実行したが、結果的に彼はチェルシーに移籍することができなかった。

 フィルジル・ファン・ダイクは所属のサウサンプトンにトランスファーリクエストを提出し、プレーを拒んだだけでなく、彼にとって、もはやサウサンプトンは物足りないクラブだということも公に話した。しかし、彼も移籍することができず、クラブに留まることになった。

 最悪のケースはジエゴ・コスタだろう。チェルシーでの練習参加を拒否しているだけでなく、ロンドンに住んでさえいない。彼は既にブラジルに渡っており、少なくとも1月までは戻ってくることはないだろう。つまり、アトレティコ・マドリードの補強禁止処分が解禁となる1月まではこのまま過ごし、古巣復帰のチャンスを待つことになりそうだ。コスタには給料が支払われているにも関わらず、イングランドにいることさえも拒否している。つまり、彼はクラブのことなど何も気にかけてないのだ。

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