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久保裕也への信頼は揺らがない。混乱に陥るヘントと、ファンが心待ちにするボンバーの爆発

今季未だゴールがない久保裕也

著者:ステファン・スメット
ベルギー・ヘント在住。2010年よりヘントの報道を担当している。ベルギー紙『Het Nieuwsblad』とヘント地元紙『De Gentenaar』に寄稿している。
Twitter:@stefan_gent

 久保裕也と彼が所属するヘントにとって厳しい時期となっている。UEFAヨーロッパリーグ(EL)では劇的な開幕イベントの後、オーストリアの若いチーム、ラインドルフ・アルタッハに敗れてヘントは予選敗退となった。アルタッハ戦で久保とチームメイトたちは、通常のプレーレベルを見つけるのに必死であった。さらに熱いパッションに溢れ、“バッファローズ”に敢然と立ち向かうオーストリア陣に驚かされてもいた。

 国内リーグ(ジュピラー・プロ・リーグ)では、ヘントは2敗を喫しており、シーズン3戦目で初めての勝ち点1をあげるに留まっている。巨額の設備投資と高い期待をよそに、不毛なスタートとなった。守備も攻撃も乱脈を極めているようだ。アウェイで行われたシント・トロイデンとの開幕戦は、乏しいチームプレーで敗北となり、監督や経営陣はすぐに翌週以降に向けた非常に大きなプレッシャー下に置かれることとなった。

 ヘントのハイン・ヴァンハーゼブルック監督は必要な態度が欠けていると激怒し、リーグに昇格したばかりのロイヤル・アントワープをホームに迎えた2戦目に際して、チームに納得のいくパフォーマンスを求めた。メディアやファンによるプレッシャーは試合前に最高潮となり、ピッチでの”決闘”をもたらした。

 アントワープは初戦で現チャンピオンのアンデルレヒトに引き分けており、真の戦士として自らを表明したが、レフリーが大変穏やかなムードであったのが幸運だった。ヘントは彼らの珍しいカウンターアタックに驚かされた。アントワープがゴールし、久保とチームメイトの肩にさらなるプレッシャーがのしかかる。久保が大変困惑して見えたのもそのためだろう。ヘントでの最初の数ヶ月、久保はわずか17試合で11得点をあげ、クールなストライカーとして名を馳せてきた。

 アントワープ戦で久保には良いチャンスが何度か訪れた。試合終了間際の最大のチャンスは、この日本代表選手がいかに自信を失っているかを示すこととなった。ベルギーで久保は、敵のペナルティーエリアで素晴らしい効果を発揮する選手として知られている。しかし今シーズン、未だ“スシボンバー”の大砲は静かなままだ。

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