ブンデスリーガ リーグ・アン

CLに出られない名門7クラブ。低迷の原因と未来への展望を紹介

CL優勝回数7回の名門も今や蚊帳の外となったミラン

ミランのビンチェンツォ・モンテッラ監督 写真提供:Getty Images

 日本代表MF本田圭佑は、ついにミランでCLに出場することはできなかった。チャンピオンズカップを含む同大会優勝7回とレアル・マドリードについで最も欧州を制したクラブであるミランだが、近年は蚊帳の外に置かれている。

 ミランが最後にCLに出場したのは2013/2014シーズンのことで、指揮官は現ユベントスのマッシミリアーノ・アッレグリ監督が務めていた。2012年の夏にズラタン・イブラヒモビッチとチアゴ・シウバの放出という“事件”が起きて以来、クラブは緊縮財政のもと着実に戦力を低下していった。

 それでも、ミランの将来に希望の光が灯っている理由は昨季途中に中国資本によるクラブ買収が実施されたからだ。この影響は既に2つのポイントで明確に表れている。

 一つは長期的なビジョンが戻ってきたことで、ビンチェンツォ・モンテッラ監督はアッレグリ監督以来となるミランで2シーズ目を迎えることができた監督となった。そして、もう一つは活発な移籍市場での動きである。ミランは今夏すでにマテオ・ムサッキオ、フランク・ケシエの2名を獲得し、まもなくリカルド・ロドリゲスとルーカス・ビリアの獲得が決定するとみられている。どの選手もチームの主力となれる戦力だ。

 また、来季よりセリエAで4位までにCL本大会出場の権利が与えられることも、ミランに希望を与えている。ユベントス、ローマ、ナポリという現在のセリエA3大巨頭に敗れたとしても、CL出場権を獲得することは可能なのだ。

大物代理人の影と戦うバレンシア

大物代理人ジョルジュ・メンデス氏 写真提供:Getty Images

 2001/2001シーズン、2003/2004シーズンにリーガを制した名門の姿はもうない。現在のバレンシアは大物代理人の影と戦うクラブとなってしまった。

 昨シーズン、今シーズンともにリーガで12位。バレンシアはCL出場権を狙うどころか、降格圏の方が近いチームとなっている。低迷の発端となったのが2010年代の巨額負債。ダビド・ビジャ、フアン・マタ、ダビド・シルバといった主力を放出しなければならない状況に追い込まれ、戦力が低下していった。

 そして、そんな苦しむクラブに近づいたのが大物代理人ジョルジュ・メンデスだった。クリスティアーノ・ロナウドやジョゼ・モウリーニョ監督といった顧客を抱え“世界最高の代理人”と謳われる同氏は、友人のシンガポール人大富豪ピーター・リム氏をバレンシアの筆頭株主へと迎え入れた。

 しかし、それ以降のバレンシアはメンデス氏の顧客選手を中心に選手を構成するいびつな組織となる。2014/2015シーズンこそリーガ4位を達成しCL出場権を獲得したが、以降はクラブ組織のバランスが崩れ、モチベーションをもたない組織となってしまった。昨夏にエースFWパコ・アルカセルをバルセロナに放出した一件も、一部報道ではメンデス氏の顧客獲得への動機が影響したと報じられている。

 現在のメンデス体制が続く限り、バレンシアの未来は明るいとはいえないだろう。かつての名門は出口の見えないトンネルに迷い込んでいる。

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