
サイバー社が町田を“捨てる”Xデーは来るのか
藤田社長の“熱量”はどこに
まず検証すべきは、藤田社長がサッカー事業にどれほどの熱量を持っているのかという点だ。音楽・麻雀・競馬といった自身の関心分野を事業化してきた経営者として知られ、AbemaTVの設立や麻雀のプロリーグ「Mリーグ」初代チェアマン就任、さらには米国G1ブリーダーズカップを制したフォーエバーヤングのオーナーとしても存在感を示している。
町田以外にもプロレス団体DDTやノアを傘下に持つが、過去にはレコードレーベル「Digital Double」の解散(2024年)、ライブ配信アプリ「takusuta」の終了(2017年)、FX事業のヤフーへの売却(2013年)など、不採算・戦略外と判断した事業からは迅速に撤退してきた。意思決定の速さは同氏の経営スタイルの特徴でもある。
リーグにおけるIT企業の買収事例
Jリーグでは、IT企業によるクラブ買収の前例がある。FC東京は2021年11月、ミクシィが約11億5,000万円を投じて株式51.3%を取得し経営権を獲得。鹿島アントラーズも2019年7月にメルカリが約15億9,700万円で61.6%を取得した。いずれもIT企業が経営権を取得し、新たなノウハウでクラブ強化を目指す構図だ。
町田の場合、サイバー社が2018年に約11億4,800万円で買収したと報じられている。仮に売却となれば、過去事例から見て10億円から15億円前後が一つの目安になる可能性はある。
売却か、保有継続か
一方で、売却を避けるシナリオもある。黒田監督が研修を通じて改善姿勢を示し、問題が沈静化すれば、クラブ保有を続ける選択も十分に考えられる。藤田社長は2024年12月13日の定時株主総会で「町田ゼルビアの躍進は黒田監督の力が大きい」と評価しており、スポーツ事業を長期投資と位置付ける発言もしている。
売却となれば、クラブは新オーナーのもとで再出発を迫られる。過去の事例では、体制変更に伴う主力選手流出や方針転換が起きたケースもある。一方で、サイバー社は経営資源を他事業へ集中できるメリットがある。
黒田監督の不適切言動と処分が、企業イメージに影響を及ぼすと経営陣が判断すれば、クラブ売却という選択肢が浮上する可能性は否定できない。FC東京や鹿島の事例が示すように、IT企業間での所有権移転は現実的な選択肢である。
現時点では不確定要素が多いが、サイバー社の意思決定は速いことで知られる。水面下で検討が進み、ある日突然「売却決定」というニュースが流れる可能性も視野に入れておく必要はあるだろう。
コメントランキング