若手選手 Jリーグ

「U-21 Jリーグ」を成功させるために乗り越えるべきハードル

Jリーグ 写真:Getty Images

Jリーグは5月27日に、2026/27シーズンから「U-21 Jリーグ」を発足することを発表。参加予定クラブは11クラブ(浦和レッズ、FC東京、東京ヴェルディ、川崎フロンターレ、清水エスパルス、ジュビロ磐田、名古屋グランパス、ガンバ大阪、ヴィッセル神戸、ファジアーノ岡山、V・ファーレン長崎)で、これが東西に分けられる。

東は浦和、FC東京、東京V、川崎F、清水、磐田。西は名古屋、G大阪、神戸、岡山、長崎。ホーム&アウェイ(2試合)+他リーグとのホームorアウェイ(1試合)を行い、上位によるプレーオフを実施し、優勝クラブを決めるレギュレーションが採用される見込みだ。土~月曜日に有観客で開催され、『JFA TV』によるネット配信が予定されており、ゆくゆくはJ3との連携も検討されているという。

創設の目的としてJリーグは27日の会見で、若手選手の試合経験の少なさが懸案となっていた現実を挙げた。「18歳まではJユース年代や高校サッカーを通して継続的な試合出場環境を確保できているが、19歳以降は適切なプレー環境を確保する難しさがある」と指摘した。

この新大会「U-21 Jリーグ」が成功裏に開催されれば、若手選手の育成環境が大きく変化し、日本サッカー全体のレベルアップに繋がる可能性を秘めている。その展望について、いくつかの側面から考察する。


佐藤龍之介(FC東京所属時)写真:Getty Images

これまでのJリーグアンダーカテゴリー

いわゆる“二軍リーグ”にあたる「サテライトリーグ」が2009年に廃止され、その代替案として「U-23チームのJ3参戦」(2014-2020)や「エリートリーグ」(2021-2022)が実行に移されたが、練習試合の域を超えることはなかった。

特に当初J3に参戦した「Jリーグ・アンダー22選抜」(2014-2015)は“寄せ集め集団”に過ぎず。また、2016シーズンから単独チームとしてJ3に参戦したFC東京、G大阪、C大阪のU-23チームは、J2昇格を目指す他クラブとのモチベーションの差は明らかで、一方的な試合が続出した。さらにコロナ禍によるスタジアム確保や集客も難しくなり、この試みも頓挫してしまった。

一方、2013シーズンから採用されている移籍ウインドーを問わない「育成型期限付き移籍」では、一定の効果が得られている。特にFC東京から育成型期限付き移籍し、ファジアーノ岡山でプレーしているMF佐藤龍之介は、岡山初としてだけではなく「育成型期限付き移籍中の選手」として初めて日本代表に選出され、欧州クラブからも熱視線が送られているという。

しかし、彼のような大成功例は稀で、移籍先でもレギュラーポジションを奪うことが出来ず、いたずらに時間ばかりが過ぎていくケースがあることも事実。育成型期限付き移籍制度は、同カテゴリーか下部カテゴリーに限られている。よってJ2かJ3のチームがこの制度を使って補強を試みたものの、成績次第では昇格も降格もある状況で、試合勘に乏しい若手選手を試す余裕などない現実が浮き彫りとなっている。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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