アジア アジアカップ

酸攻撃から奇跡の復活。ファイサル・ハリムがマレーシア代表復帰

ファイサル・ハリム 写真:Getty Images

 昨2024年5月5日、ショッピングモールで酸をかけられて重度の火傷を負ったマレーシア1部セランゴール所属のFWファイサル・ハリム(27歳)が、AFCアジアカップ2027最終予選に臨むマレーシア代表に招集された。選手生命を脅かす悲劇に見舞われてから、約1年ぶりの代表復帰となる。

 ファイサル・ハリムはマレーシア代表でキャプテンを務める中心選手で、この事件はマレーシアサッカー界を震撼させた。事件後は心身共にダメージが大きく早期の現役引退も囁かれたが、不屈のキャプテンは4度の手術を経て奇跡の復活を果たした。

 昨年8月11日に行われたマレーシアカップのケランタン戦で、2点リードの終盤にフェイスガード姿で途中出場して事件後初めてピッチに投入されると、両チームのサポーターから惜しみない歓声と拍手が送られた。

 『New Straits Times』によると、かつてFC東京やモンテディオ山形、清水エスパルスを指揮して、2025年からマレーシア代表の指揮官に就任したピーター・クラモフスキー監督は、ファイサル・ハリムの能力とアグレッシブさ、献身性を高く評価しており、チーム全体にプラスの化学反応をもたらすと期待している。

 マレーシア代表は3月27日、アジアカップ最終予選の初戦でネパール代表と対戦する。マレーシアは同予選で、ベトナム代表、ラオス代表、ネパール代表と同じグループF。本大会に出場するためには同組1位になる必要があり、東南アジアの強豪であるマレーシアとベトナムが、たった1つの椅子を巡って争う展開が予想される。

 マレーシアは帰化戦略を進めており、アジアカップ行きのチケットを獲得すべく、8人以上の帰化選手を新たに代表に迎える計画だ。