EURO フランス代表

フランスとベルギーの明暗を分けたもの。伏線は1枚目の交代に【ユーロ2024】

ケビン・デ・ブライネ 写真:Getty Images

後手後手のベルギー、カウンターも最後まで得点ならず

後半に入ってもフランスの攻撃は続く。50分には左サイドからのFKをグリーズマンが入れて跳ね返ったボールを右サイドのクンデがクロスし、テュラムがシュートもゴールならず。

61分にベルギーは、カウンターアタックからFWヤニック・カラスコ(アル・シャバブ)が右サイド深くに攻め込むも、DFテオ・エルナンデス(ミラン)がスライディングで左足を伸ばしてブロック。

78分にフランスは、右サイドのクンデが折り返したボールを中央のFWキリアン・ムバッペ(レアル・マドリード)が右足シュートも、わずかに枠の右上に外れる。

83分にベルギーは、ビッグチャンスをむかえる。ボールを受けたデ・ブライネがゴール正面で右足シュートもGKがセーブ。

その後、間もない85分にフランスは左サイドのエルナンデスから中のグリーズマンにショートパス。そしてドリブルから右サイドのクンデにわたり、中央の少し下がったところのカンテに落とすと、鋭く短い縦パスを出す。ゴール前に走り込んだFWランダル・コロ・ムアニ(PSG)がターンしながら右足シュート。ジャストミートしなかったボールは、ベルギーDFヤン・フェルトンゲン(アンデルレヒト)に当たってGKのタイミングと方向がずれてオウンゴール(OG)となった。

後がなくなったベルギーは、88分に選手を2枚同時に投入した。89分にはフランスDFウィリアン・サリバ(アーセナル)がロケットのような激しいスライディングタックルをすると、ボールはタッチを割る。

90+2分、ベルギーのFWジェレミー・ドク(マンチェスター・シティ)が左サイドをドリブル突破からクロスもフランス選手に当たりコーナーキック(CK)に。この日、再三の果敢なドリブル突破を図ったドクだが、ゴールは遠かった。

結局フランスが1点をリードしたまま試合が終了した。


ランダル・コロ・ムアニ(左)オレル・マンガラ(右)写真:Getty Images

ラストプレーは、フランスが支配した象徴の瞬間に

90+3分のほぼラストプレーというシーンは、この試合を象徴していた。ボールを持ったフランスのコロ・ムアニが右サイドをドリブル突破。たまらずベルギーMFオレル・マンガラ(オリンピック・リヨン)が身体で止めてイエローカードを受けて天を仰いだ。

この2選手は、ともにこの試合の両チームの1枚目の交代カードだ。しかし、ベンチの意図は正反対だった。

62分にテュラムと交代でコロ・ムアニを投入したフランスの意図は攻撃だ。攻めながらも、なかなか得点がとれないため、攻撃陣にさらなる勢いを加えるためにエネルギーを蓄えたリザーブ選手を投入した。結果として、コロ・ムアニのシュートがOGに繋がったのである。

一方、63分にFWロイス・オペンダ(ライプツィヒ)に代えてマンガラを投入したベルギーの意図は守備の立て直しであった。攻撃の勢いを増したフランスに対して中盤を厚くしたベルギー。この選手交代が両チームの状況を雄弁に物語っている。

データを見ると、攻撃回数はベルギーの25回に対してフランスは63回。シュート数はベルギーの5本に対してフランスは20本だ。入ったのは1ゴールのみだったが、内容はフランスが勝つべくして勝った試合だった。

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名前Takuya Nagata
趣味:世界探訪、社会開発、モノづくり
好きなチーム:空想のチームや新種のスポーツが頭の中を駆け巡る。世界初のコンペティティブな混合フットボールPropulsive Football(PROBALL)を発表。

若干14歳で監督デビュー。ブラジルCFZ do Rioに留学し、日本有数のクラブの一員として欧州遠征。イングランドの大学の選手兼監督やスペインクラブのコーチ等を歴任。アカデミックな本から小説まで執筆するサッカー作家。必殺技は“捨て身”のカニばさみタックルで、ついたあだ名が「ナガタックル」。2010年W杯に向けて前線からのプレスを完成させようとしていた日本代表に対して「守備を厚くすべき」と論陣を張る。南アでフタを開けると岡田ジャパンは本職がMFの本田圭佑をワントップにすげて守りを固める戦術の大転換でベスト16に進出し、予言が的中。

宇宙カルチャー&エンターテインメント『The Space-Timer 0』、アートナレッジハブ『The Minimalist』等を企画。ラグビーもプレーし広くフットボールを比較研究。

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