2024明治安田J1リーグ第7節の全10試合が、4月6日と7日に各地で行われた。湘南ベルマーレは7日、敵地エディオンピースウイング広島でサンフレッチェ広島と対戦。最終スコア0-2で敗れ、リーグ戦3連敗を喫している。
今2024シーズンの同リーグ7試合消化時点で、1勝2分け4敗。湘南は早くもJ2リーグ降格圏の18位に沈んでいる。この7試合でクリーンシート(無失点試合)がゼロ、総失点数も14にまでかさむなど、同クラブの守備は崩壊状態だ。
湘南の守備が安定しない原因は何か。ここでは第7節広島戦を振り返るとともに、この点について検証・論評する。
[3-1-4-2]で戦った湘南
[4-4-2]と[3-1-4-2](自陣撤退時[5-3-2])。この2つの布陣を使い分けている湘南の山口智監督は、広島相手に後者を選んだ。
基本布陣[3-4-2-1]の広島両ウイングバック(DF新井直人とMF東俊希)が自陣後方タッチライン際に立ち、パスワークに関わったため、湘南としてはハイプレスを仕掛けやすい状況に。ルキアンと福田翔生の両FW(2トップ)、これに加え平岡大陽と池田昌生の両MFどちらか一方の計3人で広島3バックに睨みをきかせ、ホームチームのパスワークをサイドへ誘導。タッチライン際で強烈な守備を仕掛ける作戦が、キックオフ直後は功を奏した。
攻撃面ではロングパスを多用し、広島のハイプレスを回避。敵陣サイドへロングパスを送り、ここへルキアンや福田を走らせると、これに湘南の他の選手も呼応する。チーム全体としてルキアンや福田をサポートする姿勢が旺盛で、これにより湘南は厚みのある攻撃を繰り出せていた。
前半14分には湘南DF畑大雅のロングパスが広島最終ラインの背後へ落ち、これにルキアンが反応。相手GK大迫敬介と1対1になりかけたが、広島DF中野就斗による間一髪の守備に阻まれ、シュートまで持ち込めなかった。
前半途中までだったハイプレスの効き目
試合序盤は湘南のハイプレスが機能したものの、前半16分の広島の攻撃シーンを境に雲行きが怪しくなった。
ここでは湘南が広島のパスワークを右サイドへ追いやったが、広島の左ウイングバック東がワンタッチでボールを捌いたため、湘南DF岡本拓也(右ウイングバック)の寄せが間に合わず。これと同時に中央からタッチライン際へ移動した広島FW満田誠(2シャドーの一角)も捕捉できておらず、湘南は同選手を経由するパスワークを許してしまった。
満田が適宜サイドへ流れたほか、湘南MF田中聡(中盤の底)の周辺スペースを広島MF松本泰志やFW加藤陸次樹も狙い始めたため、前半途中からアウェイチームのハイプレスが機能不全に。頻繁に立ち位置を変えパスレシーブを試みる満田、松本、加藤を誰が捕捉するのか。この点がしだいに曖昧になり、ハイプレスの効き目が切れた湘南は試合の主導権を握りきれず。これが後半に尾を引く形となった。
GKソンの退場で苦境に
迎えた後半3分、加藤が湘南最終ラインの背後へパスを送り、これに広島FW大橋祐紀が反応。湘南MF鈴木雄斗(センターバック)のスライディングが届かなかったうえ、GKソン・ボムグンも捕球できず。ソンと大橋がペナルティエリア内で交錯したことで、広島にPKが与えられた。
大橋を倒したソンのプレーが決定的な得点機会の阻止と見なされ、同選手にはレッドカードが提示される。昨年まで湘南に在籍した大橋にこのPKを物にされ、アウェイチームは1点ビハインドのうえ10人という苦境に陥った。
退場者を出した湘南は、[4-4-1]の布陣で反撃を試みる。後半42分、GK馬渡洋樹のロングパスを敵陣右サイドで受けたルキアンが、そのままペナルティエリア右隅へ侵入。ここから強烈なシュートを放ったが、広島GK大迫の好セーブに阻まれた。
同43分には、途中出場の湘南FW石井久継が左サイドからのドリブルでシュートを放つも、これは惜しくもクロスバーの上を通過。湘南の未来を担うであろう18歳FWが自軍に活力をもたらしたが、同点ゴールには至らなかった。
湘南は後半アディショナルタイムに浴びた速攻から大橋にゴールを奪われ、万事休す。今季リーグ戦無敗の広島相手に勝ち点を挙げるには、詰めが甘かった。
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