AFCチャンピオンズリーグ(ACL)2023/24のグループステージ第4節が11月8日に行われ、ホームのヴァンフォーレ甲府が浙江FC(中国)に4-1で勝利した。
国立競技場(東京都新宿区)にて行われたこの試合で、甲府が快勝できた要因は何か。同クラブを率いる篠田善之監督の試合後コメントを紹介しながら、この点について論評する。
甲府vs浙江:試合展開
キックオフ直後から浙江に攻め込まれたものの、これを耐え忍んだ甲府が相手の一瞬の隙を突く。
前半17分、センターサークル付近でのボールの奪い合いから、甲府MF中村亮太朗が浙江の最終ラインの背後へスルーパスを送る。このボールに反応した味方FWピーター・ウタカが浙江のGKジャオ・ボーとの1対1を制し、先制ゴールを挙げた。
前半アディショナルタイムにも中盤でボールを回収した甲府は、ここからの速攻も得点に結びつける。FW宮崎純真の敵陣ペナルティエリア右隅からのクロスに、FWジェトゥリオがゴール前へ走り込みながら左足で合わせたことで、ホームチームに追加点がもたらされた。
後半開始直後も甲府は浙江に攻め込まれ、同3分にはMFフランコ・アンドリヤシェビッチのミドルシュートを浴びる。このこぼれ球に反応した浙江のFWレオナルドを、甲府GKマイケル・ウッドが自陣ペナルティエリア内で倒したことで、浙江にPKが与えられた。
レオナルドにPKのチャンスを物にされ、1点差に詰め寄られた甲府は、前線からの守備の強度を高める。奪ったボールを縦に速く繋ぐことも徹底され、これにより息を吹き返した。
迎えた後半13分、甲府が敵陣右サイドでボールを奪う。宮崎、FW飯島陸、DF関口正大(右サイドバック)の3人によるパスワークで浙江の最終ラインを破ると、飯島のラストパスを受けた関口が相手GKのニアサイドを射抜くシュートを放ち、自軍に貴重な3点目をもたらした。
甲府は後半44分にも自陣から速攻を仕掛け、FW三平和司のスルーパスを受けたMF鳥海芳樹が相手GKとの1対1を制し、ダメ押しのゴールをゲット。途中出場の両選手が得点に絡むという、最高の結末を迎えた。
グループステージ4試合消化時点で、甲府は勝ち点7を獲得(2勝1分け1敗)。メルボルン・シティが同じく勝ち点7、ブリーラム・ユナイテッドが勝ち点6、浙江が同3と混戦模様のなか、同クラブがグループH首位に躍り出ている。各グループの首位チーム、及びグループFからJ(東地区)の2位チームのうち、成績上位の3つがノックアウトステージ進出という大会規定において甲府は優位に立った。
序盤は甲府のプレスが不発に
両軍ともキックオフ直後から[4-2-3-1]の基本布陣で臨む。前半1分、甲府はピーター・ウタカと飯島陸の両FWが最前線で横並びとなり、2トップを形成。この2人が浙江の2センターバックに寄せ、アウェイチームのパス回しをMFグー・ビン(左サイドバック)の方面へ誘導したものの、ボールを奪いきれなかった。
甲府のプレスが掻い潜られた理由は、基本布陣[4-2-3-1]の浙江のMFアンドリヤシェビッチ(トップ下)が自陣左サイドへ降り、自軍のパス回しを手助けしたこと。このときに甲府のFW宮崎純真(右サイドハーフ)がグー・ビンからアンドリヤシェビッチへの縦のパスコースを塞ぎきれなかったため、ホームチームは浙江のパス回しを断ち切れず。この直後に浙江に攻め込まれてしまった。
浙江のDFリャン・ノクハン(センターバック)が自陣ペナルティエリア付近でボールを保持した前半5分には、ここへの甲府のプレスが緩く、同選手からアンドリヤシェビッチへのロングパスが繋がってしまう。甲府の最終ラインと2ボランチ(中村亮太朗と林田滉也の両MF)の間もぽっかり空いていたため、ここに立っていたアンドリヤシェビッチに悠々とボールを捌かれている。この場面を境に甲府は相手最終ラインへのプレスを控え、自陣へ撤退するようになった。
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