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ジダンが“頭突き事件”回顧「誇りではないが…」当時から心境の変化も

ジネディーヌ・ジダン 写真:Getty Images

 元フランス代表のジネディーヌ・ジダン氏は、FIFAワールドカップ・ドイツ大会決勝でイタリア代表のマルコ・マテラッツィに対して突如頭突きをしたことで知られている。そんなジダン氏が当時の出来事を改めて振り返った。19日、フランスのサッカー番組『テレフット』が同氏のコメントを伝えている。

 ジダン氏は2006年、大会後の現役引退を公言した上でドイツW杯に臨み、ティエリ・アンリやパトリック・ヴィエラらとともにチームをけん引。フランス代表は強豪ブラジル代表やポルトガル代表などを撃破し、決勝まで勝ち進んでいた。

 そして7月9日にベルリンでイタリア代表と激突。この現役ラストマッチでジダン氏は先発出場すると、前半7分のPKで鮮やかなチップキックから先制ゴールをマーク。ところが1-1で迎えた延長後半にマテラッツィからの挑発に立腹。マテラッツィに対して頭突きを見舞うと、レッドカードの提示を受けて一発退場に。フランス代表はPK戦で3-5と敗れ、W杯優勝を逃していた。

 また、ジダン氏は決勝から3日後にフランスメディア『カナル・プリュス』や『TF1』のインタビューに対応。マテラッツィとのやり取りを聞かれると「とても個人的なことで、母と姉を傷つける、非常に耐え難い言葉をかけられた。彼はそれを何度か繰り返した。1度や2度は我慢したが……」と当時の状況を説明。

 「20億、30億人が見ている中での私の行為は許されないもので、特にテレビを見ていた子供たちに謝りたい」と述べたものの、「自分の行為について後悔はしていない。後悔すれば彼の言葉を認めることになるからだ。それは受け入れられない」と強硬な姿勢を見せていた。

 そんなジダン氏は今年6月23日に50歳の誕生日を迎える中、『テレフット』に出演。番組内で頭突き事件について聞かれると「マテラッツィへの行為は誇りではないが、人生の歩みの中の1つの出来事だったよ」とコメント。ドイツW杯終了直後とは異なり、当時の自分がとった行動から学びがあったことを明かした。

 一方でマテラッツィは2020年、自身のインスタライブで頭突き事件を回顧。「私たちはペナルティーエリア内でぶつかり合っていた。彼は前半にゴールを決めて、監督からちゃんとマークについていろと言われていたんだ。最初の衝突の後、私は彼に謝ったが、彼のリアクションは良いものではなかった」

 「そして3回目の衝突で彼は苛立ち、『俺のユニフォームはあとでやるから』と言ってきた。それに対して私は『ユニフォームよりもお前の姉ちゃんがほしいな』と返したんだ」

 「そこで頭突きされるだなんて思っていなかった。自分にそんなことをされる心構えがなかったのは、幸運と言えただろう。もし頭突きされると分かっていたならば、彼だけでなく二人ともロッカールーム送りになっていたはずだ」とジダン氏との会話内容を語っている。世界中のサッカーファンに衝撃を与えた出来事は、今もなお当事者によって語り継がれている。