
12月22日(日本時間)のセリエA第17節アタランタ戦の敗北(5-0)で、ミランの2019年が終わった。ミランの120周年でもあった今年の締めくくりが、その長い歴史を汚す結果となり、世界のサポーターをがっかりさせたことでしょう…。
はっきり言おう。このミランは簡単に復活できない!それはズラタン・イブラヒモビッチが帰ってくるとしてもです。現在揃っている選手とマネジメント陣では、上位を狙えないどころかもっと深いところに沈む可能性もある。

バンディエラ(リーダー)がいない
現在のミランの裏側にはたくさんの問題が積み重なっているが、まずは毎週のリーグ戦パフォーマンスに直接影響を与える重要なことから述べたいと思います。
それは今のミランが若い選手を中心に作られたチームであるということ。普通に考えると悪くない話だが、若手選手には様々なことを学べるベテランの存在が必要です。しかし今のミランには、勝利の経験があって、誰が相手でも勝ちたい気持ちを持ち、他の選手を正しい方向に導くバンディエラ(リーダー)的な選手が存在してない。
若い選手にとって、最も難しいことは継続です。どんな才能の持ち主でも、プレッシャーと戦うには慣れるしかありません。
2018/2019セリエAシーズン中にミランの監督であったジェンナーロ・ガットゥーゾは、そのことを十分わかっていた。一つのプレースタイルにこだわることより、勝利へのフォーカスが切れないことを第一目標にし、選手たちをずっとプッシュしていた。
時間をかけて再びクラブをトップに連れ戻すことが目標なら、メンタリティからチームを作り上げるガットゥーゾのやり方は正しかった。しかし、ミランという歴史ある名前に焦りを感じたフロント陣は、選手の成長を待たずに、プレースタイルにしかこだわりがないマルコ・ジャンパオロを次の監督として選んだ。それが失敗で、ミランは逆戻りした。

チームの強化担当は未経験者
ミランが中国人実業家のリー・ヨンホン氏のものになった2017年4月から現在までに、チームの強化担当は様々な人の手に渡った。まずはユベントス、ナポリ、インテルなどでスポーツ・ダイレクター(SD)の経験があったマルコ・ファッソーネ氏。その後は2018年からパリ・サンジェルマン(PSG)でのSD経験があるレオナルド氏にバトンタッチ。
そして現在のSDはローマとインテルで経験を持つフレデリック・マッサーラ氏になっているが、彼の名前はあまり取り上げられてない。これら全ての選択をしているのが、ミランのレジェンドの二人、パオロ・マルディーニ氏とズボニミール・ボバン氏。確かにこの二人はミランの歴史を描いた素晴らしい選手たちだったが、この仕事に関しては全くの素人です。
現在ミランが必要としているのは、クラブ作りのプロです!気持ちだけでこの状況を解決できません。今年、ユーベと1位の座を争っているインテルを見ればそれがわかります。
インテルの調子が良いのはアントニオ・コンテ監督が来たからだと思いますか?もちろんそれもあるが、インテルの一番の強さの理由は新しいGD(ゼネラルマネジャー)ジュゼッペ・マロッタ氏の手腕です。
あまり目立たない人物だが、2018年12月にマロッタ氏がユーベからインテルに移った時からインテルはしっかりしたアイデンティティーを持っていて、移籍マーケットの動きが変わったと思いませんか?

ミランの後ろにいる企業が…
ともあれ一番の問題はミランの裏にある組織です…。ほぼ偶然にミランの運営をすることになった企業が、このチームの長期的計画を考えていると思いますか?
中国人のリー・ヨンホン氏がシルビオ・ベルルスコーニ氏(1986年から31年間に渡るオーナー)からミランを買収した時、アメリカに本拠を置くヘッジファンド「エリオット・マネジメント」からお金を借りた。その後お金を返さなかったリー氏は失脚し、クラブはエリオット・マネジメントのものとなった。
エリオットはすぐに違う相手にクラブを売るつもりだっただろうが、うまく買い手が見つからず、仕方なく運営を続けている印象が強い。何しろエリオットの代表であるポール・シンガー氏は、ミランと関係する場所に一度も顔を出してないというのですよ!
オーナーの顔さえ知らないクラブが、2020年にいきなり復帰できるとは思わない。それはゴッド・ズラタン・イブラヒモビッチが来ても…。
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