アジア ラ・リーガ

今シーズン苦戦している乾貴士と柴崎岳。彼らに求められる答えとは

@takashi73784537
乾貴士(中央) 写真提供:Getty Images

 乾貴士には「我慢」が必要

 さらにエイバルがショートもしくはロングカウンターを主な攻め手としていたのに対し、ベティスはボールを保持しながら相手を崩すポゼッションサッカーを採用している。そのため、乾に求められている役割も、引いた相手に対してハーフスペースでDFを背負ってボールを受けることであり、こういったタイプのフィジカルには優れていない乾はボールロストを連発し、徐々にパスがもらえなくなってきている。

 試合によって選手やシステムを細かく変更するキケ・セティエン監督は、決して乾を評価していないわけではなく、起用の頻度を考えればむしろ期待している選手のひとりだと言えよう。正し、チームのバランスを第一に考えると彼をどこでどのように起用するのがベストなのかまだ手探り状態というのが現状だ。

 乾の場合、今シーズンのベティスがヨーロッパリーグも戦っていることもあり、今後もコンスタントに出場機会を得られるはずだ。エイバル時代もそうであったように、監督の要求を実行できるようにはある程度の時間が必要であり、セティエン監督も乾もそれは理解している。しかしスペインでも屈指の情熱的なサポーターであるベティコたちがその時間を与えてくれるかは別問題であり、ホームで気持ちよくプレーできるような環境を手にするためにも、今乾に最も求められるものは目に見える結果、特にゴールだろう。

 ゴールを決めるために乾がやるべきことは、「我慢」という他ない。左ウィングバックを務めるジュニオール・フィルポが中央まで入って行ってプレーでき、フィジカル的な強度もある選手であることを考えれば、セティエン監督の要求が別のところにあることを理解したうえで、タッチラインを背負ってボールを受けるシーンを今後はもっと増やしてもいいかもしれない。

 しかし自分の得意な形に固執してチームのルールを破ることを好まないセティエンが監督である限り、我慢して現在の役割を上手くこなせるようにならなければいけないのだ。

 しかし、乾と同じポジションを務めることの多いホアキン・サンチェスは、サイドに流れてボールを受けることも少なからずあり、乾もそのタイミングを逃さず得意な形でボールを受けて、自分のテンポを取り戻すことが必要だろう。

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