ラ・リーガ セビージャ

Dr.TRIBE【試合診断書】 ラ・リーガ第9節 バルセロナ対セビージャ

大会:ラ・リーガ
カード:バルセロナvsセビージャ
スコア:4-2
担当医:ペペ土屋( @PPDOLPHINS
【分析内容】
・マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM)
・ザ・ハード・ワーカー(THW)
・モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP)
・両チームの攻撃vs守備
・両チーム監督
・主審


マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM):マルク=アンドレ・テア・シュテーゲン

この試合が同点で終わっていても何ら不思議ではなかった。しかしバルセロナの最後尾にテア・シュテーゲンがいたことが違いを生み、結果的にはホームチームが勝利をつかむことができた。圧倒的なシュートストップの能力と身体操作で、信じられないようなセーブを4度記録した。

ザ・ハード・ワーカー(THW):イバン・ラキティッチ

美しいボレーシュートを決めながらも、愛する古巣に敬意を払い、セレブレーションは行わなかったラキティッチ。この試合でも気の利いたポジショニングと、攻守における献身性の高さを見せ、常に味方の選手を楽にした。

モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP):アンドレ・シウバ

ここまで7得点と好調だっただけに、バルサ相手にも得点が期待されたがゴールネットを揺らすことは出来ず。惜しいヘディングシュートもあったが、テア・シュテーゲンに阻まれた。ゴールハンターとしての才能があることに疑いはないが、ステップアップするためには継続性が必要だ。


バルセロナの攻撃vsセビージャの守備

バルセロナ:16分までは、10番のメッシが右のハーフスペースから中央へポジションを移したり、比較的自由に動きながら回りの選手がそれを基点に連動する。相手の2トップのプレスに対して5番のセルヒオ・ブスケツが下がって3vs2を作ってビルドアップする。

メッシが負傷交代してから、ボールを細かくつないで前へ運ぶことがなかなかできなくなったバルセロナは、9番のルイス・スアレスと11番のウスマン・デンベレのスピードを活かしたカウンターが主な攻め手に。

セビージャ:5-3-2のブロックを敷いて、ハーフライン近くからプレスを開始。ブスケツに対して特別に人を付けたり、パスコースを切ったりすることはせず、ハーフラインを越えたあたりからは、10番のエデル・バネガがアンカーの位置から前に出てアプローチすることが多かった。

左サイドには不安が残る。セルヒオ・エスクデロの代役として出場している23番のギリェルミ・アラーナと3番のセルジ・ゴメスの連携面が不安定なことと、ゴメスのアジリティ不足を突かれるとピンチに陥る。


セビージャの攻撃vsバルセロナの守備

セビージャ:3バックは全員パス出しが得意なタイプではないので、アンカーのバネガを中心にショートパスをつなぎながら、両WBが高い位置をとり、そこにボールを運んでクロスを入れるのが基本的な形。特に右サイドの16番ヘスス・ナバスの突破から多くのチャンスが生まれる。

攻め込む際は、2トップと両WBがほぼ同じラインにポジションをとり、少し下がったハーフスペースで両IHがボールを受けて前を向くことでゴールに迫る。オープンになった後半は2トップとナバスを中心としたカウンターから何度かバルセロナを脅かした。

バルセロナ:アンカーのブスケツが前に出てバネガをつかみに行くことで、すべての場所で対峙する相手が明確になり、前からプレスをかけやすい状態に。無理にボールを獲りに行くことはないが、役割ははっきりさせていた。

途中8番のアルトゥールが前に出て、スアレスと2トップに近い形をとり、4-4-2にも見えるような守備隊形を敷く時間帯も。7番のフィリペ・コウチーニョのヘルプがない左サイドは、ナバス相手に苦戦していた。


バルセロナ監督:エルネスト・バルベルデ

メッシが負傷したのは16分、デンベレが交代でピッチに入ったのは26分と、10分も決断に時間がかかったところに、このチームにおけるメッシの存在の大きさがうかがい知れる。もちろん急なことだったし、開始から16分しかたっていなかったので、デンベレの準備ができていなかった影響もあるだろう。

それでも事実として、その時点で2-0で勝っていたにもかかわらず、10分間を10人で戦わせたバルベルデのジャッジには疑問が残る。メッシの長期離脱が決定的となった今、彼の真価が問われる。


セビージャ監督:パブロ・マチン

開始12分で2失点。カンプ・ノウでこれだけ早くビハインドを背負えば勝負が決まってしまうことは分かっていたはずなので、ブスケツとメッシに特別何も対策を施さなかったことは残念だ。しかし、その後ナバスのサイドを中心に果敢な攻撃を見せて自らのスタイルを貫いた姿は、セビージャサポーターの心には響いたかもしれない。

ケアーの負傷はこのチームにとって非常に痛手で、ただでさえ層の薄いCB陣でヨーロッパのコンペティションも戦わなければいけないことを考えると、少し気が早いが冬の移籍市場では確実に補強が必要だ。


主審:マルティネス・ムヌエラ

56分にナバスのクロスがペナルティエリア内で、ジョルディ・アルバの腕にあたったシーンはVARの確認があったにもかかわらずPKが与えられなかった。故意ではなかったものの、腕は明らかに不自然な位置にあり、PKが妥当だったはずだ。