Jリーグ 川崎フロンターレ

Dr.TRIBE【試合診断書】 J1リーグ第26節 川崎フロンターレ対北海道コンサドーレ札幌

大会:J1リーグ
カード:川崎フロンターレ対北海道コンサドーレ札幌
スコア:7-0
担当医:高橋羽紋
【分析内容】
・マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM)
・ザ・ハード・ワーカー(THW)
・モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP)
・両チームの攻撃vs守備
・両チーム監督
・主審


マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM):家長昭博

前への推進力は圧巻。ドリブル突破で幾度となく局面を打開、フィジカルの強さと技術力の高さは傑出していた。1ゴール2アシストと直接得点にも関与している。マン・オブ・ザ・マッチに相応しいパフォーマンスだ。

ザ・ハード・ワーカー(THW):中村憲剛

素早いトランジションで攻守の起点となった。先制点は中村憲剛のボール奪取から。さらに見事なダイレクトボレーで2点目を奪った。後半途中からは3列目にポジションを下げ、的確なポジショニングでチームをコントロールした。

モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP):宮澤裕樹

ビルドアップで手詰まりとなり川崎のハードプレスを剥がせず。立ち位置の修正やサイドへの展開など、若いバックラインを助けることは出来たはずだ。


フロンターレの攻撃vsコンサドーレの守備

フロンターレ:攻守は表裏一体。前線からの守備が機能したことが7得点快勝に繋がった。この日のフロンターレは狙いが明確。後方からボールを繋ぐコンサドーレに対して、良い距離感で連動したプレスを敢行。素早いボール奪取からショートカウンターを発動させた。

攻守の要となったのは中村憲剛。ボール奪取からの判断が的確で相手の致命的なエリアにボールを流し込んでいる。受け手と出し手の意思疎通が図れていたとも言える。7得点を全て異なる選手が決めていることも好材料だろう。

コンサドーレ:7失点大敗。守備ブロックを崩されたよりも、ボールの奪われ方が悪かったことに尽きる。チームが自ら招いた失点と言えるだろう。守備の立て直しのためには、ビルドアップの改善が不可欠だ。


コンサドーレの攻撃vsフロンターレの守備

コンサドーレ:試合を通してビルドアップが機能不全に陥った。7失点完封負けはボールの巡りが悪かったことが要因だ。

前半開始直後は相手のミスも相まり、都倉へのアーリークロスでチャンスを創出。しかし、チャンスらしいチャンスはロングボールのみ。ショートパスで中央やサイドを崩すことは出来なかった。

フロンターレ:フロンターレの守備陣形は4-4-2が基本形。コンサドーレの3バックに対して、フロンターレは小林、中村(局面に応じて阿部と家長)がボールサイドを限定しながらプレス。宮澤、深井の両ボランチに対しては、下田、大島が連動してプレスをかけ、中央へのパスコースを封じた。さらに、ハーフスペースで受ける荒野やチャナティップに対しては、CBの奈良や谷口がハーフウェーライン側まで付いていきスペースを封じた。チーム全体でマーク・スペースの受け渡しが機能したことが、7得点快勝につながっている。


川崎フロンターレ:鬼木達監督

前線からのプレッシングが機能し、狙い通りの形でゴールを奪取。プランに沿った戦い方で勝利を収めた。後半途中に大島僚太が交代。中村憲剛を3列目に配置転換し、家長昭博をトップ下に移動させた。これが、ゲームの支配力を高めると同時に攻撃力を増すことになり、勝利を手繰り寄せた。交代出場した知念慶、田中碧がゴールを奪った点も今後に向けてのプラス材料だろう。素晴らしいゲームマネジメントであった。


北海道コンサドーレ札幌:ミハイロ・ペトロビッチ監督

北海道胆振東部地震の影響を感じさせないプレーでサポーターへ勝利をプレゼントしたかったが、非常に残念な結果となってしまった。前線からのプレスを剥がせず、前半だけで3失点。後半開始からジェイ、石川を投入するもビルドアップは機能不全のまま。選手間の距離も改善されないままであった。

問題は明白だ。ボールの巡るコースと選手の立ち位置。ビルドアップ時に中央への意識が強すぎて危険なエリアでカットされる場面が目立った。パスコースの角度を作る行程はまだまだ発展途上だ。ただ、何度失敗しても勇気を持って後方からのビルドアップを続けた点は、「指揮官を信頼してスタイルを貫いている」と言える。


主審:上村篤史

危険なプレーは少なく無難に試合を裁いた。荒野のシュートのこぼれ球に詰めて都倉がゴールネットを揺らした場面は、オフサイド。副審が適切なジャッジを下している。