
スポーツ庁が2026年1月時点でまとめた「全国のスタジアム・アリーナの新設・建替構想」によると、全国で進行中のスタジアム計画は36件。このうち、Jリーグに加え、JFL、地域リーグも含めたサッカーでの利用を主に想定する計画は27件とされ、その8割以上が構想・計画段階にある。
同資料で設計・建設段階とされる案件は、モンテディオ山形新スタジアム(2028年開業予定)、いわきFC新スタジアム(2031年完成予定)、等々力緑地球技専用スタジアム(2030年完成予定)、パロマ瑞穂スタジアム、花園ラグビー場第2グラウンドの5件。このうちパロマ瑞穂は建て替えを終え、アジア競技大会のメイン会場となった。一方、花園第2グラウンドは未着工の状態が続いており、実際に設計・建設が進んでいるのは3件程度だ。残る大半は用地選定や基本計画、資金調達の段階にある。
ここでは、Jリーグクラブを中心にJFLや地域リーグの動きも含め、主なスタジアム計画の概要と進行状況を整理したい。

設計・建設段階に進んでいる主な案件
J2モンテディオ山形
計画発表・推進/2028年8月開業予定/山形県天童市・山形県総合運動公園特設駐車場内/収容約1万5,000人
2026年3月に本格着工し、基礎工事が進行中だ。2026年7月の現場公開時点で基礎工事の進捗は約50%、全体では約7%となっている。総事業費は約158億円。不動産開発会社エスコンが最大50億円を出資し、クラブ運営会社を子会社化した。365日稼働の複合施設を目指し、周辺のにぎわい創出も視野に入れる。現本拠地の「NDソフトスタジアム山形」は陸上競技場であるため、ピッチと観客席の距離に加え、秋春制移行に伴う屋根の設置が課題となっていた。
J2いわきFC
計画提出/2031年シーズン開幕前完成予定/福島県いわき市小名浜港埠頭付近/収容約8,000~1万人
いわきFCは2025年にJリーグへスタジアム整備計画を提出し、民設で進める方針を示した。2027年中の着工が求められており、基本設計段階に入っている。いわき市は防災・交通対策の協議会を設け、図書館や交流スペースなど公共機能の入居も検討されている。2026年5月には市や商工会議所と共同で進捗を発表した。東日本大震災から20年の節目となる2031年の完成を目標に、エリア価値の向上とアクセスの課題解決を図っている。
J1川崎フロンターレ
等々力緑地再編整備事業の一環としての球技専用スタジアム計画/2029年度末完成目標/神奈川県川崎市中原区等々力緑地/収容約3万5,000人
現在の等々力陸上競技場(Uvanceとどろきスタジアム)を球技専用に改修する計画だ。2015年4月にリニューアルされた地上6階建てのメインスタンドを残した上で陸上トラックを廃止し、観客席とピッチの距離を縮める。PFI方式(設計・建設・運営に民間の資金とノウハウを活用)で川崎市が主体となり、新アリーナや陸上競技場なども一体で整備する。2025年10月に旧市民ミュージアムの解体工事、同年12月に施設整備工事に着手しており、段階的に供用を開始する予定だという。総事業費は資材価格の高騰により約1,232億円に膨らむ見込みとなり、整備内容の見直しによる圧縮が図られている。

構想・計画段階の主な動き
J1鹿島アントラーズ
2026年2月12日、茨城県、鹿嶋市と共同で新スタジアムプロジェクトを発表した。建設予定地はメルカリスタジアム隣接地の卜伝の郷運動公園。県主導の公設で、2033年の開業を目標とする。収容人数や規模は今後の基本計画で詰める予定だ。背景には、現在使用しているスタジアムの老朽化と、年間約8億円に上る維持管理費がある。
J2ブラウブリッツ秋田
秋田県と秋田市が2026年5月に基本方針案を示し、7月17日にクラブを含めた三者で基本方針に合意した。整備予定地は秋田市八橋運動公園内。整備費は設計費などを含めて142億円を上限とし、収容人数は5,000~1万人規模の範囲で決める。国からの交付金などを除いた額を、クラブを中心とする民間が50%、県と市が各25%負担する。2026年度中に基本計画を策定し、2027年度以降に設計、2028年度以降に着工、2031年8月の供用開始を目指す。ただし設計・工事の各段階で民間側の資金確保を確認した上で手続きを進めるとされており、民間資金の調達が実現への鍵となる。
J2ヴァンラーレ八戸
2026年7月30日、青森県と八戸市、クラブが新スタジアム整備のスケジュールを発表した。2028年11月までにJリーグへ計画を提出、2030年11月までに着工し、2034~2035年の利用開始を目標としている。背景には、現在の本拠地であるプライフーズスタジアムがJ2基準を満たしていないことがある。
J1清水エスパルス
静岡市はENEOSと合意し、JR清水駅東口の清水製油所跡地の一部を取得することになった。土地取得は2026年6月の市議会で議決され、現在は新スタジアムの実現可能性調査を進めている。整備にはまず石油貯蔵タンクの撤去(約2年)から着手しなければならないため、開業は2034年頃と見られている。
J3福島ユナイテッド
日本初の完全木造・循環型スタジアム構想を発表したものの、まだ候補地選定を進めている段階だ。具体的な着工時期や完成時期は全くの白紙となっている。
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