Jリーグ

カズもモモ収穫!Jリーグ5クラブに見る収益アイディア「農業」「カニ販売」…

ガイナーレ鳥取(左)アビスパ福岡(右)写真:アフロスポーツ

Jリーグクラブの中には入場料や物販、スポンサー収入に頼るだけでなく、地場産業や環境を活用した独自事業で収益を多角化しているクラブも現れてきている。これらの取り組みは、ファンとのつながりを強化し、地域の課題解決にも寄与しており、Jリーグの理念でもある地方創生を形にしている。

ここでは、J3福島ユナイテッドとガイナーレ鳥取、J2ヴァンフォーレ甲府、J1鹿島アントラーズとアビスパ福岡の事例を取り上げ、各クラブが展開する事業を具体的に紹介する。こうした“アイデア勝負”は、本業であるサッカー事業を補完する一手であり、クラブの持続可能な経営基盤づくりにつながっている。


とうほう・みんなのスタジアム 写真:寺島武志

福島ユナイテッド

農産物のEC販売で風評被害払拭と地域PR

J3福島ユナイテッドは、2014年に東日本大震災後の風評被害払拭を目的に農業部をスタートさせ、現在も運営を続けている。「福島の魅(味)力」発信や地域活性化への貢献、新たな収入源の確保にもつなげている。

「農業部長」を務めるのはベテランFW樋口寛規。GK田中雄大が次長、GK安西駿がアスパラガス課長など各選手が担当品目を分担し、“人事異動”もある。栽培している農産物はりんご、桃、米、ぶどう、梨(ル・レクチェ)など幅広く、販売も自社で担っている。

公式オンラインショップでのEC販売と定期便コースを設定。アウェーゲーム会場での「ふくしマルシェ」出店やインスタ発信も行い、2021年には「Jリーグシャレン!アウォーズ パブリック賞」を受賞した。選手自ら農作業を行うことで話題性を生み、ファン層拡大にもつながっている。

2025年12月末に横浜FCから期限付き移籍したカズことFW三浦知良も、7月20日に農業部の活動に初参加し、モモを収穫。皮ごとかぶりつく姿が報じられた。

直後の7月25日に行われた天皇杯福島県代表決定戦の決勝、いわき古河FC戦(7-0で優勝し本大会出場)で、カズは約4年ぶりとなる公式戦ゴールを59歳4か月29日で記録し、その報は日本のみならず全世界に打電された。さらに8月19日の天皇杯本戦1回戦(とうほう・みんなのスタジアム/山形県代表の大山サッカークラブ戦/7-0)では、PKながらも2得点を59歳5か月24日で記録し、天皇杯での最年長得点記録を大きく更新した(それまでの記録は、当時北海道コンサドーレ札幌MF小野伸二の41歳8か月13日)。

カズの存在、そして得点を決めるたびに大きく報じられることへの広告効果たるや、金額換算すればクラブの年間売上高約6億円(2025年)近くにも匹敵するのではないだろうか。原発事故から15年、風評被害に苦しんだ福島が再生しつつあることを、カズの活躍は満天下に示している。この事実だけでも、カズのゴールは単なる得点ではない価値があるのだ。


ガイナーレ鳥取 写真:アフロスポーツ

ガイナーレ鳥取

「野人プロジェクト」のカニ販売と「しばふる」芝生生産

J3ガイナーレ鳥取は、地元の一次産業を活かした二つの事業で収益とPRを両立させている。

まず、2014年に開始したファン支援型事業「野人プロジェクト」は、元日本代表FWの岡野雅行氏(2014年からGM、2017年から2024年まで代表取締役GM)が主導する形で進められた。クラブと境港などの水産業者が提携し、名産の松葉ガニや紅ズワイガニなどを直送販売。きっかけは強化費の確保だったが、鳥取県の観光キャンペーン「蟹取県」の全国発信につながり、ファン向けの御礼品として位置づけ、地元の海鮮をPRする取り組みに発展した。

もう一つの「しばふる(Shibafull)」は、2017年に開始した芝生生産事業だ。米子市などの遊休農地を活用し、クラブとパートナー企業の協業により、スタジアム管理のノウハウを生かしたティフトン芝を生産・販売。教育施設や公園だけでなく個人の庭などにも展開している。耕作放棄地の解消という副産物を生み、自動芝刈り機などの新技術導入で持続可能なモデルを構築。クラブは安定した収入を得ている。


ヴァンフォーレ甲府 写真:アフロスポーツ

ヴァンフォーレ甲府

耕作放棄地活用の農業・食育プロジェクト

J2ヴァンフォーレ甲府は、山梨県北杜市などの耕作放棄地問題に着目し、農業プロジェクトを展開している。

北杜市と連携し「ヴァンフォーレファーム」として田植えや野菜栽培、食育、収穫物の活用を実施。地域農業の課題解決と子どもの体験促進、クラブの地域密着強化に寄与している。選手やアカデミー生が農作業に参加し、サポーターを巻き込んだイベントとして進め、地産地消のサイクル構築やファンの体験向上につなげている。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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