
北本久仁衛(DF/2000-2018)
公式戦394試合。ヴィッセル神戸の歴代最多出場記録を持つのが、DF北本久仁衛(2020年引退)である。奈良育英高校から加入した2000年から19シーズン、一度もクラブを離れることなく戦い続けた「魂のディフェンダー」だった。
スキンヘッドをトレードマークにした力強い風貌と、相手に一歩も引かない激しい守備は、多くのサポーターの記憶に残っている。空中戦では果敢に競り合い、ピンチでは迷うことなく体を投げ出してシュートをブロックする。その泥臭く、献身的なプレーこそが北本最大の魅力だった。
そのタフネスから「鉄人」と呼ばれた北本は、J2降格やタイトル争いなど、チームの浮き沈みをすべて最前線で見届けてきた。一度もクラブを離れることなく戦い続けた事実は、北本がどれほどチームから信頼されていたかを物語っている。代わりの効かない選手であり続けたこと自体が、北本の最大の実績と言えるだろう。

レアンドロ(FW/2007-2008、2015-2018)
神戸の歴代外国籍選手を語るうえで、真っ先に名前が挙がるのがFWレアンドロ(2020年引退)である。2007年に加入すると、圧倒的な得点力と闘志あふれるプレーで瞬く間にサポーターの心をつかんだ。その後クラブを離れたものの、2015年に再び神戸へ復帰。「もう一度神戸で戦いたい」という思いに応えるような復帰劇は、多くのサポーターに歓迎され、再びエースとして攻撃を牽引した。
レアンドロ最大の魅力は、ゴールを奪う能力だけではない。試合の流れが悪いときには自ら中盤まで下がってボールを受け、強靱なフィジカルで相手を背負いながら攻撃の起点となる。自ら局面を動かし、試合の流れを変えられるストライカーだった。
ゴールを決めれば感情を爆発させ、劣勢でも仲間を鼓舞し続けた。その熱いプレーは何度もスタジアムを沸かせた。勝利への執念を前面に押し出すプレーは、神戸のエースそのものだった
2007年にはJ1復帰初年度のチームをけん引し、15得点を挙げてクラブの躍進に大きく貢献。そして復帰後の2016シーズンには19得点を記録し、神戸の選手として初となるJ1得点王を獲得した。
FWダビド・ビジャ(2019年引退)やFWルーカス・ポドルスキ(2026年引退)ら世界的スターが加入する以前、神戸には「困ったときはレアンドロ」という絶対的な存在があった。一人で試合を決めてしまう。そんな期待を毎試合背負い続けたストライカーは、そう何人もいない。

アンドレス・イニエスタ(MF/2018-2023)
MFアンドレス・イニエスタ(2024年引退)の加入は、神戸だけでなくJリーグ全体に大きな衝撃を与えた。バルセロナやスペイン代表で数々のタイトルを獲得した世界的名手が、2018年に神戸に加入したことは、Jリーグ史に残る出来事となった。
高い技術と戦術眼を発揮し、試合の流れを自在に操るプレーメーカーとしてチームをけん引した。狭い局面でもボールを失わない技術と広い視野で攻撃を組み立てた。
2019年にはクラブ史上初となる天皇杯優勝に貢献し、翌年にはFUJI XEROX SUPER CUP制覇にも導いた。これらのタイトルは、長年あと一歩届かなかった神戸が強豪クラブへと歩みを進める大きな転機となった。
イニエスタが神戸に残した財産は、華麗なプレーだけではなかった。日々のトレーニングへ向き合う姿勢やコンディション管理、勝利への飽くなき探求心は、クラブ全体の意識を引き上げた。練習から一切妥協しない姿勢は、多くの選手にプロとしてのあるべき姿を示した。
2023年にクラブを離れた後も、その価値観は現在の神戸に受け継がれている。タイトルを目指すクラブとしての意識、世界トップレベルのプレーやプロフェッショナリズムは、その後のチームづくりにも大きな影響を与えた。タイトルに手が届かなかった時代の神戸を知る者ほど、イニエスタ加入の意味の大きさを実感するはずだ。
神戸の歴史を彩った名選手は、この5人だけではない。FW永島昭浩(2000年引退)、FW大久保嘉人(2021年引退)、MF朴康造(2012年引退)、FW小川慶治朗(2010-2020在籍)、FW大迫勇也(2021-)などそれぞれの時代を象徴する選手たちもクラブの歴史に欠かせない存在である。
それぞれが活躍した時代や役割は異なるものの、クラブの発展に果たした功績はいずれも計り知れない。彼らが築き上げた歴史と伝統は、現在の神戸へと確かに受け継がれている。これからも新たなスターが誕生していくだろう。しかし、今回紹介した5人は、クラブの歩みを語るうえで欠かすことのできない、神戸を代表するレジェンドである。
コメントランキング