
2025シーズンの明治安田J1リーグで、清水エスパルスが厳しい戦いを強いられている。6月のリーグ戦で未勝利に終わり、18位の横浜FCとの勝ち点差が8にまで縮まった。「振り返れば降格圏」だ。
直近6月28日の第22節柏レイソル戦(IAIスタジアム日本平)では、前半の2失点が響き、主将のFW北川航也のPK失敗もあって0-2の完封負け。4試合連続で白星を逃すこととなった。6月11日の天皇杯2回戦の松本山雅戦は4-2で勝利したものの、J1リーグで6月に重ねた勝ち点はわずか2だ。
ここでは、ケガ人続出、選手層の薄さなどの課題が浮き彫りになっている清水が、シーズン後半戦で再び上昇気流に乗るための道筋を探る。

これ以上のケガ人を出さないための見直し
清水の不振の大きな要因の1つは、主力選手のケガによる離脱だ。6月21日の名古屋グランパス戦(豊田スタジアム/1-1)ではDF高橋祐治が、名古屋FW永井謙佑との接触プレーの際に、前十字靭帯断裂で全治9か月の重傷を負った。
他にも、DF山原怜音、DF高木践、DF吉田豊、DF北爪健吾といった前半戦を引っ張った選手が負傷で戦線離脱中だ。その中、特にDFリーダーだった高橋の重傷はチームの士気にも影響を与え、DFラインの安定感が大きく損なわれた。
秋葉忠宏監督は限られた選択肢の中での選手起用を強いられている。これにより、試合ごとの戦術の柔軟性が低下し、相手チームの戦術に対応しきれていない状況が続いている。前述の柏戦では、法政大学在学中の特別指定選手DF日高華杜を先発起用するしかないほどの「野戦病院」ぶりである。
1つだけポジティブな面を挙げるとすれば、5月29日に新加入した25歳のブラジル人DFマテウス・ブルネッティが思いのほか早く、チームにフィットしたことだろう。
また、攻撃陣でも、ブラジル人FWドウグラス・タンキ(6月上旬頃に何らかのケガやコンディション不良が報道され7月2日に復帰済み)ブルガリア人FWアフメド・アフメドフ(5月中旬から欠場。負傷の発表はない)を欠き、藤枝MYFCに育成型期限付き移籍していたFW千葉寛汰を急きょ呼び戻したほどだ。
清水のケガ人の続出はシーズン序盤から続く問題で、J2を戦っていた昨2024シーズンと比較しても離脱者の数は非常に多い印象だ。ケガの予防やリハビリ体制の見直し、さらには選手のフィジカル管理の強化が急務と言える。
特にJ1の厳しいスケジュールでは、選手のコンディション管理がチームの成績に直結する。この問題を解決できなければ、シーズン後半戦でのさらなる苦戦は避けられないだろう。

選手層の薄さの解消
また、現在の清水は主力が離脱した場合に、その穴を埋める即戦力の控え選手が不足している。選手層の薄さから、ケガ人の続出が深刻な影響を及ぼしている。
特に、攻撃陣と中盤の層の薄さが目立つ。例えば、不動のボランチであるブラジル人MFマテウス・ブエノとMF宇野禅斗のいずれかが仮に負傷離脱となれば、チームは崩壊してしまう懸念が生じるだろう。
柏戦で先発に抜擢された日高だったが、経験不足から来るプレーの安定感の無さに課題を残し、67分で交代となった。若手の起用は将来への投資としては重要だが、現在のチーム状況では即戦力としての活躍を期待するのは難しい。
また、控え選手の中には前半戦に試合出場の機会が少なく、コンディションやモチベーションの維持に苦労している選手もいる。この点も、チーム全体の競争意識や士気にも影響を及ぼしている。
現在のJ1リーグでは、連戦での選手の疲労蓄積やケガのリスクが高まるため、選手のローテーションが不可欠だ。しかし、現在の清水は主力と控えの選手の間に実力差があり、ローテーションを効果的に行うことが難しい。
これは秋葉監督がほぼメンバーを固定して前半戦を戦い、結果を出していたことも理由として挙げられるだろう。しかしこの問題を解決するには、若手の育成に加え、即戦力となる選手の獲得が急務だ。一方で若手選手の積極的な起用や、昨季の宇野のブレークと同様に育成型期限付き移籍の活用も有効な手段だ。
コメントランキング