Jリーグ 水戸ホーリーホック

清水昇格をまたしても阻止!水戸が“J2の番人”と呼ばれる理由

水戸ホーリーホック 写真:Getty Images

10月6日の明治安田J2リーグ第34節で、ホームのケーズデンキスタジアム水戸に清水エスパルスを迎えた水戸ホーリーホックは、2-2の引き分けでJ1昇格のかかった清水に勝ち点3を許さず。同日3位のV・ファーレン長崎も勝利(対大分トリニータ4-1)したことで、昇格決定は次節以降に持ち越された。

清水にとっては、昨季昇格を逃した“因縁の地”だ。2023シーズンJ2最終節(2023年11月12日)、勝てば昇格というシチュエーションで水戸に引き分けに持ち込まれた清水は、結果4位でプレーオフに回り、そのプレーオフも2試合連続引き分け(準決勝11月12日対モンテディオ山形0-0、決勝12月2日対東京ヴェルディ1-1)に終わった。

そのリベンジを期した清水だったが、悔しい結果に終わると同時に、首位の座も再び横浜FCに明け渡した。清水VS水戸の試合を振り返ると共に、水戸が“J2の番人”と呼ばれる理由を改めて検証しよう。


中島大嘉 写真:Getty Images

清水VS水戸:昨季のリプレイのような光景

スタンドはゴール裏のみならず、メインスタンドもほぼオレンジ一色。8346人の観客動員のうち、7割方は清水サポーターが占めていたが、彼らが目にしたのは、昨季のリプレイのような光景だった。

水戸は前節(9/28)、アウェーの白波スタジアムで、J3降格圏(19位)に沈む鹿児島ユナイテッド戦で0-3の完敗。尻に火の付いた相手に圧倒され、後半途中、鹿児島に退場者が出ながらも、さらに追加点を許し、2試合連続で無得点という完敗だった。

データ上では、清水にとって水戸は、2000年6月7日のヤマザキナビスコカップ(現ルヴァンカップ)1回戦での初対戦から、リーグ戦とカップ戦合わせて8戦して5勝3分けの“お得意様”のハズだった。しかし、昨季の印象が強烈過ぎて、どこかに“苦手意識”が芽生えてしまったのだろうか。


乾貴士 写真:Getty Images

清水VS水戸:試合展開

試合の入りは清水ペースだった。深く引いて守る水戸に対し、前半20分までで6本ものシュートを浴びせ、水戸にはシュートを許していなかった。

ところが、水戸がワンチャンスをモノにする。前半23分、FW中島大嘉の持ち上がりから、DF大崎航詩の左足シュートが清水DF蓮川壮大の足に当たり、ゴールに吸い込まれた。これで水戸が勢い付き、前半38分には、右ウイングに入ったDF長澤シヴァタファリのアーリークロスに、中島が上手く左足で合わせ追加点。清水側ゴール裏は静まり返った。

思わぬ展開に、清水の秋葉忠宏監督は珍しくハーフタイム明けに動く。MFルーカス・ブラガとMFカルリーニョス・ジュニオを下げ、FWドウグラス・タンキと、8月10日のホーム(IAIスタジアム日本平)のザスパ群馬戦(4-0)以来の復帰戦となるMF松崎快を投入した。

さっそく後半2分、タンキのポストプレーからFW北川航也が追撃の1点を返すと、後半22分にMF乾貴士に代わってピッチに入ったMF矢島慎也が後半37分、ペナルティエリア外から右足を一閃。相手DFに触れたボールがゴールに突き刺さり、試合を振り出しに戻した。

その後は完全に清水ペースとなり、記録されたパス数は650本を超えたが、水戸も守り一辺倒ではない。この日、後半11分から投入されたFW久保征一郎、FW山本隼大の高さを生かした反撃の機会を伺う。しかし、このまま試合は終了、勝ち点1を分け合う形となった。清水は直近5試合で先制されても逆転、あるいは引き分けに持ち込むしぶとさを見せたものの、昨季の悪夢を払拭することはできなかった。

水戸にとっても、これで3戦勝利なしとなったが、水戸が引き分けに持ち込んだ相手はこの日の清水と、昇格プレーオフ進出圏内のファジアーノ岡山(9月22日0-0)だ。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ、現在のお気に入りはシャビ・アロンソ率いるバイヤー・レバークーゼン

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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