浦和レッズ AFCチャンピオンズリーグ

実を結んだ浦和のリスクヘッジ。ACL決勝第2戦の勝因は【現地取材】

2022ACL優勝 浦和レッズ 写真:Getty Images

AFCチャンピオンズリーグ(ACL)2022の決勝第2戦が5月6日に行われ、浦和レッズが本拠地の埼玉スタジアム2002でアル・ヒラル(サウジアラビア)と対戦。1-0で勝利した。これにより2戦合計スコアが2-1となり、浦和が3度目のアジア王者に輝いている。

2試合ともアル・ヒラルに攻め込まれる時間帯が長かったものの、したたかな戦いぶりで勝利を手繰り寄せた浦和。ここでは激闘となった第2戦を振り返るとともに、浦和の勝因を考察。また、マチェイ・スコルジャ監督とDF酒井宏樹の試合後会見のコメントを紹介する。


浦和レッズvsアル・ヒラル、先発メンバー

浦和vsアル・ヒラル:試合展開

[4-1-2-3]の布陣でこの試合に臨んだアル・ヒラルが、キックオフ直後からボールを支配。浦和は[4-4-2]の守備隊形を敷き、FW興梠慎三とMF小泉佳穂の2トップを起点に時折ハイプレスを仕掛けたものの、隊形変化を駆使するアル・ヒラルのパスワークを止めきれない。攻撃面ではGK西川周作のロングキックが上空に舞った強風の影響で軌道が乱れるなど、浦和は苦戦を強いられた。

GK西川の好セーブなどでアル・ヒラルの猛攻を凌いだ浦和は、後半のワンチャンスを物にする。同3分のセンターサークル付近からのフリーキックでMF岩尾憲が浮き球を繰り出すと、ペナルティエリア左隅に立っていたDFマリウス・ホイブラーテンがヘディングでゴール方向にボールを送る。これが相手MFアンドレ・カリージョのオウンゴールを誘発した。

失点後にアル・ヒラルは布陣を[4-4-2]に変え、サイドからのクロスに活路を見出そうとしたが、攻撃が単調になり浦和の守備を崩せず。両サイドのゴール裏を赤く染めたサポーターから、試合終盤に「We are REDS」の大合唱を受けた浦和の選手たちが、虎の子の1点を守りきった。


アル・ヒラルの選手たち 写真:Getty Images

功を奏した浦和の自陣撤退守備

[4-1-2-3]の中盤の底アブドゥラー・オタイフが適宜2センターバック間に降りたほか、インサイドハーフのカリージョがセンターバックとサイドバックの間へ移動するなど、攻撃時の隊形変化で浦和を惑わせたアル・ヒラル。このポジションチェンジでサイドと中央どちらにもパスを出せる状況を作り、浦和に守備の的を絞らせなかった。

これに対し浦和は第1戦と同じく、[4-4-2]の隊形を軸とする自陣撤退守備へと移行。前半9分には、自軍のセンターバックとサイドバックの間でボールを受けたカリージョの前進を許し、このプレーからアル・ヒラルのサイド攻撃を浴びたものの、ペナルティエリア左隅に侵入したFWアブドゥラー・アルハムダンを浦和のDFアレクサンダー・ショルツが阻止。この場面を皮切りに浦和の4バック(DF酒井宏樹、ショルツ、ホイブラーテン、MF明本考浩)、及びMF伊藤敦樹と岩尾の2ボランチで自陣ペナルティエリア内やその手前を埋め続け、ぎりぎりのところで守備の決壊を免れた。

攻撃時の隊形変化が激しいアル・ヒラルに対し、闇雲にハイプレスをかけた挙げ句パスワークでいなされるという状況を多く作らなかったことが、今回の浦和の勝因だ。4バックと2ボランチの個々の守備力、GK西川のファインセーブで何とか凌ぎきった感のある試合だったが、チーム全体として選択した戦い方は賢明だった。浦和のリスクヘッジが実を結んだ試合と言えるだろう。

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名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

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