優勝はもちろん、昇格や残留をめぐって毎年激しい争いが繰り広げられる明治安田生命Jリーグ。2022シーズンからは新たにJFL王者いわきFCが加わり、J1からJ3までのクラブ数は合計で58となった。
ここでは、2021シーズンに昇格を決め、2022シーズンをJリーグの舞台で戦う5クラブに注目したい。「昇格組」にとってはまずは残留が1つの目標になるが、どのようなオフシーズンを送ったのだろうか。
いわきFC(J3)
2021シーズン:JFLリーグ優勝
2013年に福島県社会人サッカーリーグ3部に参入してから10年目。いわきFCがついにJの舞台に辿り着いた。最初の2年は昇格できなかった一方で、米国アンダーアーマー日本総代理店の株式会社ドームが経営に参画するようになった2016シーズン以降は、2020年を除いて毎年昇格している。
遺伝子検査によって選手ごとに分析を行い、説明書のようなものを作成。その選手に最適なトレーニングを徹底的に行うという、独自のトレーニング法でフィジカルを鍛え上げる。そんなチームの勇ましい姿は東日本大震災復興の象徴として、多くの人を勇気付けてきた。
補強のスタイルはブレておらず、長野から田中謙吾、横浜FCから星キョーワァン、鹿島アントラーズから有馬幸太郎、カターレ富山から田中勘太を獲得した他は大卒選手6人を補強。即戦力を積極的に獲得するというよりは将来性のある選手を獲得し、自前のいわきFCパークで育て上げるという流れを継続できている。
復興の半ばである地のクラブが「世界で通用する存在になる」ために。いわきFCのJでの挑戦が始まる。
ロアッソ熊本(J2)
2021シーズン:J3リーグ優勝
3位のテゲバジャーロ宮崎まで、勝ち点の差はわずかに1。激闘のJ3リーグを制したのはロアッソ熊本だった。2005年にヴァンフォーレ甲府をJ1リーグ昇格に導いた大木武監督のもと、28試合で20失点に抑えリーグ最少失点を達成した。
そのメンバーから岩下航の移籍はあったが、その他の主力は維持することに成功。今年はJ2残留を目指し、前線からの積極的な守備に磨きをかける。そのために必要な戦力として、イヨハ理ヘンリー、田辺圭佑、粟飯原尚平、三島頌平といった即戦力候補に加え、新卒組6名を獲得した。
過酷なJ2の残留争いを戦い抜くために盤石な体制とまでは言えないが、2018シーズン以来のJ2の舞台で他チームに対抗できるだけの戦力を揃えている。
いわてグルージャ盛岡(J2)
2021シーズン:J3リーグ2位
ロアッソ熊本の後塵を拝すこととはなってしまったが、2位に入り初のJ2昇格を達成したいわてグルージャ盛岡。12チームで争われたJ3初年度の2014年を除き、二桁順位が続いてきたチームが昇格を果たしたことはサプライズだった。2020シーズンからチームを率いるのは秋田豊監督。京都サンガや町田ゼルビアを率いた際には成績を残せなかったが、グルージャでは若手選手を積極的に起用し堅実なサッカーに徹してJ3を勝ち抜いた。
期限付き移籍で加入していた佐々木翔悟、西田恵は所属元に復帰してしまったが、途中加入で4得点を挙げた和田昌士を完全移籍に移行することに成功。FC岐阜から甲斐健太郎、カターレ富山から戸根一誓、モンテディオ山形から中村充孝と小松駿太、横浜F・マリノスから南拓都、FC東京から阿部伸行らを獲得。さらに大卒組の5人と、韓国人のキム・ジョンミンとチャン・ヒョンスも加えた。
堅守を軸に、初のJ2の舞台でも鶴のように飛び立ち、残留やそれ以上の位置を目指す。
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