アジア 代表チーム

新世代メンバーが躍動した森保ジャパンの初陣。世代交代への布石

堂安律 写真提供:Getty Images

 

 森保ジャパンが見せた代表メンバー世代交代への布石

 しかし新たなシステムが完全に機能するまでには時間がかかる。彼は3バックシステムを完全に捨て去ったわけではない。強い相手や難しい状況において価値のある選択肢となるはずだ。例えば、W杯でベルギーが3バックから4バックに変更したことは、具体的なケーススタディとなったはずだ。

 サムライブルーの監督としてのデビュー戦で、森保監督はシンプルに伝統的な4-4-2を採用。チーム随一のタレント2選手を両ウィングに配置し、機動力の高い2トップをチョイスした。基本的にはJリーガーと海外組の若手選手で構成されたチームだった。

 守備時に日本は4-4の2ラインによってコスタリカにスペースを与えず、タイトなマークと、強烈なプレッシャーを両ウィングからもかけていき、何度かボールを奪い返した。この日のセンターバックコンビである槙野智章と三浦弦太は、みんなが夢見るパートナーというわけではないだろう。しかし、すべての空中戦に勝利し、ディフェンスにソリッドさをもたらし、東口順昭の出番はほとんどなかった。

 ボールポゼッションの最中、日本は攻撃陣が創造性を発揮し、遅いテンポ、速いテンポ、ショートパス、ロングパス、ワンツーや単独突破といったもののバランスを見つけ出し、相手に予測を難しくさせた。危険はどこからでも迫ってくる。中島は左に、堂安は右に、南野は中央でうろつき、後ろからは遠藤航が飛び出してくる。今後4年間で森保ジャパンの中心的役割を担いそうな、若い世代が最高のパフォーマンスを見せた。

 ここ数年代表チームをフォローしてきて、これほどまでに悲観的な雰囲気に包まれていたチームは、ロシアW杯代表以外になかっただろう。しかし、逆境は選手たちから最高のプレーを引き出し、現在は楽観主義が戻ってきた。日本ほど経験豊かなベテランと若いタレントに恵まれた国は、アジアには他にない。私たちにできるのは、森保監督が世代交代をスムーズに行い、サムライブルーを新たな高みに導いてくれるのを願うことだけだ。

著者:チアゴ・ボンテンポ

1985年生まれのブラジル人ジャーナリスト。サンパウロ在住。幼少期よりスポーツとりわけサッカーを愛する。大学時代にジャーナリズムを専攻し2011年よりブラジル『Globo Esporte』で日本サッカーを担当している。ブラジルのボタフォゴ、アーセナル、そして日本代表の熱烈なサポーターである。将来の夢は日本語を流暢に扱うこと、富士山登頂、Jリーグスタジアムを巡ること。

Twitter: @GunnerTNB

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