ワールドカップ 代表チーム

敗退後の混乱が続くドイツ代表。レーブ留任の理由と代表引退濃厚な選手は

批判を浴びるメスト・エジル 写真提供:Getty Images

 トルコのギュンドアン大統領と面会したことで大会前から散々批判を浴びてきたエジルは、自らの意見を語ることを避けた上にロシアでの闘争心の見えないプレーが火に油を注ぐ形となり、韓国戦後にはスタンドのファンと言い争う姿も目撃されている。現在も事態は鎮静化するどころか、選手を守る立場にあるべきDFBからも非難を浴びるという異様な状況だ。

 代表チームのマネージャーを務めるオリバー・ビアホフは最近になって、エジルをロシアに連れて行かないことを真剣に検討すべきだったとコメント。当初はエジルのW杯メンバー入りを支持していたラインハルト・グリンデルDFB会長もドイツ誌『キッカー』で、「彼は休暇後に自分自身のためにも考えをはっきりと語るべきだ」と語っている。このような状況で、エジルはもはや代表チームでプレーし続けたいとは思わないだろう。

 再スタートを切るドイツには、2年後の欧州選手権で復活を遂げために新しい血を取り入れつつチームを立て直す難しいプロジェクトが待ち構えている。幸い才能豊かな若手選手は多く、チームには既にティモ・ベルナーやヨシュア・キミッヒ、ユリアン・ブラントらが組み込まれているが、今後は彼らがベテランを押しのけてチームに主軸となっていく必要がある。

 W杯メンバー入りを逃した選手にも、今後代表チームで経験を積んでいくべき若手は少なくない。その筆頭は、親善試合でチャンスを与えられながらも本領を発揮できなかったリロイ・サネだ。彼がプレミアリーグで発揮している能力を武器として活かしていくことは、間違いなくチームが取り組むべき課題のひとつだろう。他にも昨季ホッフェンハイムで活躍したセルジュ・ニャブリやケレム・デミルバイ、レバークーゼンのベンヤミン・ヘンリヒスといった2017年コンフェデレーションズカップ組がチャンスをうかがう。

 W杯を4度制した強さとファンからの信頼を取り戻すべく、ドイツ代表は9月6日に新たな船出を迎える。新設されるUEFAネーションズリーグの初戦、相手は新世界王者となる可能性もあるフランス代表だ。失望とフラストレーションに満ちたロシアとは違う姿が見られるのか、ミュンヘンでの一戦には地元ファンの厳しい目が注がれることになる。

著者:マリオ・カワタ

ハンガリー生まれドイツ在住のフットボールトライブライター。Twitter:@Mario_GCC

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