Jリーグ サンフレッチェ広島

異例の展開を見せるJ1。欧州ビッグクラブを上回る広島の独走ぶり

サンフレッチェ広島のパトリック 写真提供:Getty Images

 Jリーグは歴史的に見ても、最終節まで優勝決定が持ち越されることが珍しくない実力差の少ないリーグだ。一方でクラブ間の格差が大きい欧州のトップリーグでは、資金力の豊富なビッグクラブが首位を独走してシーズン中盤には優勝争いの行方が大方決まってしまうことも多い。今季の広島のスタートは、2017/18シーズンの欧州5大リーグの序盤と比較するとどう映るのだろうか。

 まず開幕からの8試合を全勝し勝ち点24を獲得したのは、セリエAのナポリだけだった。しかしその後ろには勝ち点22のユベントスが続いたため、大きなリードを得るには至っていない。その後ユベントスが逆転し首位に立ったが、2クラブの優勝争いは現在も続いている。

 またマンチェスター・シティ、パリ・サンジェルマン、バルセロナの3クラブは、第8節終了時点で広島と同じ7勝1分の成績で首位に立っていた。つまり今季の広島は、これまで欧州のビッグクラブと同様のペースで勝ち点を積み重ねているということになる。ちなみにブンデスリーガを独走し既に優勝を決めたバイエルン・ミュンヘンは、この時点では勝ち点17の2位に留まっていた(首位は勝ち点19のドルトムント)。

 また2位のチームを見るとプレミアリーグでは勝ち点20のマンチェスター・ユナイテッド、リーグ・アンでは勝ち点19のモナコ、リーガでは勝ち点18のバレンシアが首位を追走しており、この時点での最大勝ち点差は4しかなかった。この数字からも既に勝ち点7の差をつける広島のリードの大きさが分かるだろう。

 以上の通り、広島の今季序盤の独走ぶりはJ1の過去の記録だけでなく、欧州トップクラブさえも上回っている。果たして広島はこのまま優勝に向けて突っ走るのか、あるいは他チームが独走を止めることができるのか。いずれの結果になっても、2018年のJ1が例年にない展開を見せているのは確かだ。

著者:マリオ・カワタ

ドイツ在住のフットボールトライブライター。Twitter:@Mario_GCC

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