代表チーム コロンビア代表

遅れてきた主役候補。不運を乗り越えて初めてのワールドカップに挑むファルカオ

著者:Euan McTear(翻訳者:マリオ・カワタ)

 ベルント・シュスター、エリック・カントナ、ジョージ・ウェア、ライアン・ギグス、ジョージ・ベスト、そしてアルフレッド・ディ・ステファノ。彼らは世界最高の選手たちでありながら、ワールドカップに出場することはなかった。ラダメル・ファルカオもそのリストに加わるところだったが、モナコのストライカーは今夏のロシアで32歳にして初めてワールドカップの舞台に登場する。

 4年ごとに大会を外から見つめるたびに、彼は「何がいけなかったのか」と思ったに違いない。「成績は最高で皆勤賞、学級委員なのになんで私は学校で嫌われ者なの?」という『ザ・シンプソンズ』のリサ・シンプソンのセリフのように、不思議に思っていたことだろう。しかしスプリングフィールド小学校と同じように、サッカーの世界でも努力と才能が報われるとは限らない。

 ファルカオが代表デビューしたのは20歳の時、2006年ワールドカップの直後だった。ロス・カフェテロス(コロンビア代表の愛称)はドイツでの大会に出場できなかったが、もしエル・ティグレ(ファルカオの愛称)が数年早く生まれていれば、プレーオフ進出に必要だった勝ち点1を得られていたかもしれない。選手にとっても代表チームにとっても、不運なタイミングだった。

 ファルカオは2010年南アフリカ大会の予選には出場したがそれも終盤のみで、チームは再び勝ち点1の差でプレーオフ進出を逃した。18試合を戦う厳しい南米予選では、時に小さな差が重要な違いを生むのだ。

 2014年大会の予選になると、状況は大きく変化する。ファルカオはヨーロッパに渡って2009年にポルト、2012年にアトレティコ・マドリードに加入し、世界でも有数のストライカーとしての名声を獲得した。彼だけでなく新たな世代の才能が同時に開花し、ヨーロッパに渡ることでトップレベルの経験を積んでいた。「新しい世代の選手たちとともに、この代表チームは歴史を作っている」とジャクソン・マルティネスは当時コメントしている。「今ではほとんどの選手がヨーロッパでプレーしており、1994年ワールドカップのチームよりも幅広く才能あふれる選手たちが揃っていると思う」

 ファルカオ(13試合9得点)とテオフィロ・グティエレスのゴール、ハメス・ロドリゲスのアシスト、若手の融合を促したベテランDFマリオ・ジェペスのリーダーシップと守備力、そしてホセ・ぺケルマンと冷静なコーチングのおかげでコロンビア代表が南米予選を2位で終えると、チームは頻繁に1994年大会の世代と比較された。

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