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流通経済大の関東1部復帰…対戦相手幹部が踏み込んだ「現時点では賛同」の意味とは

流通経済大学サッカー部 写真:アフロスポーツ

 FIFAワールドカップ北中米大会日本代表候補MF守田英正(スポルティングCP)の出身校である流通経済大学サッカー部は3月、部員5人の大麻使用疑いにより無期限活動停止となっていたが、4月はじめの処分解除により、関東サッカーリーグ1部へ復帰。12日開催の第2節(対城西大学)が復帰初戦となり、2-3で敗れたが、ピッチに戻るまでの「たった約1ヶ月」という異例の短期間に、サッカー界は静かに沸騰している。

 関東サッカーリーグは当初、第1節〜第9節(計9試合)を0-3の不戦敗とする厳しい裁定を下していた。ところが3月29日付の発表からわずか数日で方針を一転。第1節・第2節を延期とし、第3節以降は予定通り開催する形に変更した。大学側の対応が評価されたとはいえ、このスピード感は「前例にない」と関係者の間で囁かれている。

 大学の公式発表によれば、全面解除の条件として、部員全員への違法薬物検査(全員陰性)、宣誓書の提出、研修会の実施、継続的な注意喚起といった複数の再発防止策が課された。書面上の体裁は整っている。だが、それが実質的な「再発防止」として機能するかどうかは、まったく別の話だ。

 こうした状況に対し、注目すべき発言をしたのが、対戦相手である南葛SCの岩本義弘代表取締役専務兼GMだ。Xへの投稿で岩本氏は「罪を犯していない学生のプレー機会を奪わない」「リーグ戦の公平性を保つ」という2点を軸に、関東リーグの決定に「賛同する」と明言。さらに「過去の前例をもとに重いペナルティを課すのは良くないのでは」とも踏み込み、過去の処分例そのものが「バランスの取れていない判断だった可能性が高い」とまで言い切った。

 同リーグに属するクラブの幹部がここまで踏み込んだ意見を公開発信するのは異例であり、ネット上では様々な意見が相次いだ。ただし、岩本氏の発言には決定的な「留保」が含まれていた。

 「あくまでも、『現時点では』ですが」

 この一言は軽く読み流せない。岩本氏が想定しているシナリオは明示されている。「現時点で問題ないと判断された学生が、この後に再び捜査の対象になるなど」の新事実が浮上した場合、今回の決定への賛同は撤回され得るということだ。つまり岩本氏の「賛同」は、あくまでも現段階の情報を前提とした条件付き評価に過ぎない。関東リーグの決定が「正解」だったと断言したわけではない。

 流通経済大学が今後、追加の不祥事なく2026年シーズンを完走できるか。それが問われている。部員全員陰性という検査結果と宣誓書が「保証」になるとは、サッカー界のコンプライアンス史が証明してこなかった。今もなお、日本の高校・大学サッカー界では未成年飲酒や喫煙、暴力など、様々な問題が蔓延しているだけに、部員や指導者全員がこれらの問題にどう向き合うかが問われる。