
新加入の6選手
新加入選手は6人。主に福岡から他クラブへの移籍が発生したポジションを中心に強化を図った。井手口と中村の抜けたボランチには、どちらもパリ五輪出場を目指すMF松岡大起、MF重見柾斗を獲得。松岡はJ1で113試合、重見も大学生ながら特別指定選手として2023シーズン5試合の出場経験があり、若手ではあるが不安は少ない。山岸とルキアンが抜けたストライカーにはサンフレッチェ広島で2シーズンプレーしたFWナッシム・ベン・カリファを獲得。献身性が高く、最前線の選手が守備の起点となることが求められる福岡にフィットすることは間違いない。
サガン鳥栖から加わったFW岩崎悠人は、2023シーズン後半から中心システムとなった[3-4-2-1]のシャドーとウイングバックの位置を担えるアタッカー。圧倒的な運動量と推進力を武器に、2022年のEAFF E-1サッカー選手権を戦う日本代表にも選出された。ベン・カリファと共に多くの得点に関与することが期待される。また、東京ヴェルディへ期限付き移籍していたMF北島祐二は持ち前の突破力はそのままに、怪我を負うまで主力を担ったことで試合の流れを読む力と自信を加えて帰還。セットプレーのキッカーとしても期待したい。また、山ノ井拓己が抜けたGKには菅沼一晃が加わり、新たな4人の顔ぶれでポジション争いが繰り広げられることとなる。

2024シーズンの陣容総括
福岡はおそらく、各メディアの補強診断で今季も低い評価となるだろう。新加入選手の人数が多くなく、それぞれが残してきた数字だけを見ると他チームと比べて地味に映るためだ。ただし、サッカーは単純な足し算ではない。「チーム戦術に合致した」選手であることが重要だ。その点で福岡は間違いなく良い補強ができたといえる。チームの根幹を成す守備陣に主力の流出はなく、崩れる姿は想像できない。中盤から前では「チームの心臓」と評されるMF前寛之や、初タイトルに多大な貢献をした“博多のメッシ”ことMF紺野和也ら主力の多くが残留している。
1つ不安を挙げると、明確な点取り屋が不在なこと。昨シーズン以上の順位に入るためには得点増が不可欠で、FWベン・カリファやFWウェリントン、FW鶴野怜樹、FW城後寿などタイプの異なるFW陣のうち、誰かが「新エース」にならねばならない。長谷部監督は、新体制発表会で今季の目標を「リーグ戦6位以上、カップ戦ベスト4以上」と掲げた。その際の自信漂う表情から察するに、指揮官としては十分な陣容が揃ったと感じているのだろう。2023シーズンの7位を上回るため、そして願わくば2つ目の星をユニフォームに輝かせるために、再び前評判を覆す戦いが始まる。
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