
インテンシティの高さと汚いプレーは別物
野々村チェアマンはプレー強度について「世界を体感してきた選手や森保監督にも、どういったところを変えなければいけないかを聞いてきた」とし、「コンタクトプレー、強度というのは、強さ、深さ。世界のトップレベルでやってきた選手から何度も言われてきた部分」だと語った。“これこそが世界基準”とでも言いたげなコメントだが、そもそも、インテンシティの高さと汚いプレーとは別物だ。
それが可視化されたのが、22日の清水エスパルス対アルビレックス新潟(IAIスタジアム日本平/2-0)である。前半26分、新潟MF秋山裕紀が清水MF乾貴士に対し、スライディングタックルしたシーンだ。
秋山は足裏で乾の脛にアタックしており、乾が踏み込む寸前に軸足を抜いたお陰で大惨事は免れた。主審の高崎航地氏はファールの笛を吹いたものの、イエローカードを出す様子も見せずにプレーを再開させようとした。ところがVAR担当の御厨貴文氏からオンフィールドレビューを求められ、スローモーションで見返した上で秋山にレッドカードを提示した。
これがVARのないJ2、J3だったら「やった者勝ち」となってしまう重大な事象だ。
一方で、新潟DFのタックルを受け倒れ込んだ清水MFマテウス・ブエノのプレーに対してはファールを取らず、逆にブエノのハンドリングを取った。全く一貫性のない判定に、両軍の選手が翻弄された形となった。

選手の負傷に繋がってしまっては本末転倒
判定基準の変更については、インテンシティの高さが武器の町田ゼルビアの黒田剛監督が歓迎するコメントを残しているという。しかし、たった2節終了の時点で早くも問題が噴出しているのが現状だ。
また、JリーグのAPTが欧州との比較で短い(Jリーグ52分、イングランド58分、ドイツ57分、スペイン55分)というのであれば、アディショナルタイムで調整すればいいだけの話だ。実際、欧州では7~8分など一般的で、負傷者の搬送などがあれば10分を超えるアディショナルタイムを取ることも日常茶飯事だ。
取るべきファールを取らずに試合を流し、それが選手の負傷に繋がってしまっては本末転倒だろう。プレーヤーズファーストの精神を、Jリーグは忘れてしまったのだろうか。
このままのルール運用が続けば、いずれは大ケガする選手が続出することは必至だ。それは負傷した選手、および負傷させた選手が「世界基準」でないから起きたのかと問われれば、そうではないだろう。
現状、日本代表のほとんどが海外組であることを考えれば、Jリーガーが何人負傷したとしても、来年に控えるW杯北中米大会への影響は少ないだろう。かと言って、周知期間がほとんどなく、野々村チェアマンの思い付きとさえ思えるようなタイミングで実行に移された今回の判定基準の唐突な変更。
欧州クラブのように大人数の選手を抱えることもできないJリーグにあって、シーズン佳境の段階で、選手が足りずにユース選手を起用せざるを得ない状況となるクラブが出てきてもおかしくはないだろう。
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