Jリーグ

Jリーグの2025シーズン判定基準変更を検証。選手が壊れるまで続けるのか

乾貴士 写真:Getty Images

インテンシティの高さと汚いプレーは別物

野々村チェアマンはプレー強度について「世界を体感してきた選手や森保監督にも、どういったところを変えなければいけないかを聞いてきた」とし、「コンタクトプレー、強度というのは、強さ、深さ。世界のトップレベルでやってきた選手から何度も言われてきた部分」だと語った。“これこそが世界基準”とでも言いたげなコメントだが、そもそも、インテンシティの高さと汚いプレーとは別物だ。

それが可視化されたのが、22日の清水エスパルス対アルビレックス新潟(IAIスタジアム日本平/2-0)である。前半26分、新潟MF秋山裕紀が清水MF乾貴士に対し、スライディングタックルしたシーンだ。

秋山は足裏で乾の脛にアタックしており、乾が踏み込む寸前に軸足を抜いたお陰で大惨事は免れた。主審の高崎航地氏はファールの笛を吹いたものの、イエローカードを出す様子も見せずにプレーを再開させようとした。ところがVAR担当の御厨貴文氏からオンフィールドレビューを求められ、スローモーションで見返した上で秋山にレッドカードを提示した。

これがVARのないJ2、J3だったら「やった者勝ち」となってしまう重大な事象だ。

一方で、新潟DFのタックルを受け倒れ込んだ清水MFマテウス・ブエノのプレーに対してはファールを取らず、逆にブエノのハンドリングを取った。全く一貫性のない判定に、両軍の選手が翻弄された形となった。


黒田剛監督 写真:Getty Images

選手の負傷に繋がってしまっては本末転倒

判定基準の変更については、インテンシティの高さが武器の町田ゼルビアの黒田剛監督が歓迎するコメントを残しているという。しかし、たった2節終了の時点で早くも問題が噴出しているのが現状だ。

また、JリーグのAPTが欧州との比較で短い(Jリーグ52分、イングランド58分、ドイツ57分、スペイン55分)というのであれば、アディショナルタイムで調整すればいいだけの話だ。実際、欧州では7~8分など一般的で、負傷者の搬送などがあれば10分を超えるアディショナルタイムを取ることも日常茶飯事だ。

取るべきファールを取らずに試合を流し、それが選手の負傷に繋がってしまっては本末転倒だろう。プレーヤーズファーストの精神を、Jリーグは忘れてしまったのだろうか。

このままのルール運用が続けば、いずれは大ケガする選手が続出することは必至だ。それは負傷した選手、および負傷させた選手が「世界基準」でないから起きたのかと問われれば、そうではないだろう。

現状、日本代表のほとんどが海外組であることを考えれば、Jリーガーが何人負傷したとしても、来年に控えるW杯北中米大会への影響は少ないだろう。かと言って、周知期間がほとんどなく、野々村チェアマンの思い付きとさえ思えるようなタイミングで実行に移された今回の判定基準の唐突な変更。

欧州クラブのように大人数の選手を抱えることもできないJリーグにあって、シーズン佳境の段階で、選手が足りずにユース選手を起用せざるを得ない状況となるクラブが出てきてもおかしくはないだろう。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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