残り試合数も少なくなり、大詰めを迎えている2024明治安田J1リーグ。サンフレッチェ広島、町田ゼルビア、ヴィッセル神戸の3チームを中心に優勝争いが繰り広げられる中、鹿島アントラーズは今季も上位を維持しながらタイトルを巡るデッドヒートからは脱落しつつある。
2016年に年間王者を獲得して以降、国内タイトルからは遠ざかっているものの常に1桁順位で5位以内をキープしている鹿島。他クラブと比較すれば十分に安定した戦績を残していると言えるが、Jリーグ屈指の名門クラブにとっては必ずしも満足のいく結果を得られているとは言えない。
今季ここまでも首位広島と勝ち点12差で4位につけているが、下位との勝ち点差も詰まっていることに加え後半戦に入って以降は6試合未勝利など停滞気味。もちろん優勝の目が消えているわけではないが、現実的には今の順位を守り切れるかが注目ポイントになるだろう。
その上で、来季を見越して期待されるのがこの冬の補強による戦力アップだ。とはいえ、今季開幕前の補強を見ても上位を走る3チームと比較するとやや遅れをとったと言わざるを得ない。そこで注目されるのが、他クラブへ期限付き移籍中の選手たち。もちろん帰ってくることが必ずしも決まっているわけではないが、今季の活躍からも帰還すれば間違いなくチームの力になると期待できる選手は複数いる。ここでは、来シーズンに向けてチームへの復帰が待ち望まれる選手を3名紹介していく。
荒木遼太郎(FC東京)
高校卒業後の2020年に鹿島アントラーズへ入団したMF荒木遼太郎。プロ2年目の2021シーズンには36試合で10ゴール7アシストと大きな存在感を示し、翌年以降の活躍にも期待を寄せられていた。しかし、2022~2023シーズンは怪我の影響などもあり出場機会に恵まれず、数字面も自ずと低迷。今季はプロ入り後初めて期限付き移籍先で開幕を迎えた。
新天地であるFC東京では、開幕戦でスタメン出場を果たすといきなりの2ゴールをマーク。第2節でも得点を挙げ、まるで水を得た魚のようにシーズン序盤から多くのゴールでチームに貢献している。さらに、しばらく遠ざかっていたパリ五輪世代の代表にも改めて招集されるようになり、五輪予選も兼ねたAFC U-23アジアカップでは準決勝のイラク戦でチームに2点目をもたらすなど日本の優勝と本大会出場に大きく貢献した。
今季は特にシュートの上手さや狭い場所でのキープ力で技術の高さを見せており、鹿島にとっては復調した荒木を簡単に手放したくはないだろう。さらに、出場が減っていたとはいえ長年チームの攻撃を支えたMF土居聖真が今夏J2のモンテディオ山形へ移籍したこともあり、中盤の選手層に厚みを持たせたいことも荒木の復帰が必要と言える要素だ。期限付き移籍で改めて能力の高さを発揮し、国際大会での経験も積んだ荒木。鹿島復権のための重要なピースの1つとしてその去就が注目される。
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