プレミアリーグ

世界最古のサッカー大会FAカップの面白ポイント3選

ユルゲン・クロップ監督(左)トーマス・トゥヘル監督(右)写真:Getty Images

世界中の国々にサッカークラブは星の数ほど存在するが、その中でもイギリス(イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)は特に多く、現時点では約4万のクラブ数に、スタジアムの数は92と言われている。トップレベルのプレミアリーグから、下はプロアマ混合のナショナルリーグまで、リーグ構成も細かくレベル分けされている。

これらの分厚いレベルの壁を越えて、選手たちが純粋にサッカーで競い合える大会がFAカップだ。1871年にイングランドで創設された世界最古のカップ戦。2022/23シーズンは、2022年11月に1回戦、2回戦が行われ、3回戦2023年1月7日~、4回戦1月28日~、5回戦3月1日~、準々決勝3月18日~、準決勝4月22日、決勝6月3日という日程予定だ。

ここではFAカップの特に面白い3つのポイントを厳選してご紹介していこう。


ケンブリッジ・ユナイテッド 写真:Getty Images

ポイント1:参加できるクラブの幅が広い!

イングランドのサッカー構成はピラミッド型のイメージ。1番頂点に存在するのは、最もレベルが高いプレミアリーグだ。そして2部に相当するのがEFLチャンピオンシップ、実質3部がEFLリーグ1、実質4部がEFLリーグ2、とイングリッシュ・フットボールリーグ(EFL)が存在する。実質5部にナショナルリーグ(アマチュアも含む)。それ以下に続くのが地域にある小さな規模のクラブ。ピラミッドの最上位のプレミアリーグから、最下位は11部までの構成になっている。

FAカップの面白さは、この頂点に位置するプレミアクラブと、アマチュアを含む実質10部までに所属する非常に幅広いレベルのクラブが、思いっきり共にサッカーをプレーすることができることだ(※10部のクラブは上位クラブの参加数が少ない場合に参加権が与えられる)。もちろん考え方によってはレベルの差がありすぎて勝敗が予想できてしまうからと、FAカップを好まない方もいるだろう。しかし、同大会は不思議と予想外のハプニングをよく生み出し、それがまたよく似合う大会だ。

昨2021/22シーズンのドラマの1つとして、1部プレミアクラブのニューカッスル・ユナイテッドが、3部EFLリーグ1のケンブリッジ・ユナイテッドに0-1で敗退するという、まさかの出来事も話題となった。当時ホームで試合したニューカッスルには、サポーターからの深い落胆の視線が痛いほど降り注いだ。一方でケンブリッジの選手たちは思いがけない勝利に、試合後にピッチでどんちゃん騒ぎをしてしまい、現地メディアからバッシングを受けることに。いろいろな意味で互いに目立つ結果となった。

ニューカッスルは今2022/23シーズンも、1月8日に行われたFAカップ3回戦でEFLリーグ1のシェフィールド・ウェンズデイ相手に1-2で敗退している。たとえプレミアリーグで絶好調(ニューカッスルは現時点4位)でも、FAカップはそうはさせてくれない何かがあるのかもしれない。


FAカップ トロフィー 写真:Getty Images

ポイント2:負けたらさようならノックアウト方式!

FAカップの醍醐味といえば、1回でも負けたら終了というノックアウトシステムが採用されているところだろう。1回勝負のため、試合当日の選手の体調や天候などがかなり重要になってくるのだ。監督はもちろん選手たちは、1度限りになるかもしれないという強いプレッシャーを背負いながら試合に挑む。

特に、普段闘い慣れていない同士の組み合わせになる時は面白い。プレーをする方はより緊張感が高まると思うが、観戦または視聴する側からすると、どんな試合になるのかと期待感は倍増する。小さな規模のクラブ同士や、プレミアクラブとEFLリーグ1クラブなど、通常あまり目にすることができない試合を堪能できるのもFAカップならではの良さだ。新たなお気に入りクラブや選手を見つけられるかもしれない!

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名前:Molly Chiba
趣味:自然散策、英国のあれやこれやをひたすら考えること
好きなチーム:トッテナム・ホットスパーFC

東北地方の田園に囲まれ育ちました。英国のフットボール文化や歴史、そして羊飼いやウールなどのファッション産業などに取り憑き、没入している日本人女性です。仕事のモットーは、伝統文化を次世代に繋ぐこと。

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