Jリーグ サンフレッチェ広島

広島GK大迫敬介、柏FW細谷真大の他に…ディナモ・ザグレブが日本人選手獲得検討か!

大迫敬介 写真:アフロスポーツ

 サンフレッチェ広島所属GK大迫敬介と柏レイソル所属FW細谷真大に、クロアチア1部ディナモ・ザグレブ移籍の可能性が浮上。広島OBであるディナモのスポーツディレクターを務めるダリオ・ダバツ氏が、川崎フロンターレ対鹿島アントラーズを視察するなど、すでに日本代表選手の獲得に向けて本格的な動きを見せているが、大迫と細谷以外の日本人選手もリストアップした可能性も取りざたされている。

 クロアチアメディア『nacional』が4月10日付で報じた内容によれば、ダバツSDはすでに来日しており、複数の試合と選手を直接視察済み。別のクロアチアメディア『SN』も同時期に「ダバツの訪問は観光目的ではない」と断言。二媒体が同時に報じたという事実が、幹部による動きの「本気度」を物語っている。

 ダバツ氏は2006年から2008年にかけて広島でプレーし。引退後もクラブとの人脈を維持し続けてきた。くわえて、広島で8年間プレーし伝説となったミハエル・ミキッチという強力な「扉を開く鍵」の存在もある。単なるビジネスライクなスカウティングではなく、深い信頼関係のうえに成り立つ視察——それがこの動きの本質だ。

 焦点はまず、大迫敬介の移籍金200万ユーロ(約3億7000万円)という数字にある。

 『nacional』によれば、ディナモは大迫を「200万ユーロで獲得できる可能性がある」と見ている。だが、ここで問題が生じる。26歳の日本代表GKに、この金額は「安い買い物」なのか——それとも「高い賭け」なのか、だ。

 ディナモは今夏、最優先課題としてGK補強を掲げている。フェネルバフチェから期限付き移籍中のクロアチア代表GKドミニク・リヴァコヴィッチの完全移籍に必要な400万ユーロ(約7億4000万円)を払う意思がなく、かつイタリア勢が高額サラリーで横槍を入れてくる可能性もある。いわば「王道の補強ルートが全て塞がれた」状況での、大迫への接触だ。

 Jリーグのスタンダードからすれば200万ユーロは決して安くない。一方でヨーロッパのGK市場において、26歳・A代表経験あり・FIFAワールドカップ予選出場3試合という実績を持つ選手に対する値付けとしては、むしろ「割安」との見方もできる。広島が強気の交渉に出れば、この数字はすんなりとは通らないだろう。移籍が実現するとしても、一筋縄ではいかない価格交渉が待ち構えている。

 一方、細谷の評価は別の角度から興味深い。

 『nacional』は細谷を「ブルーノ・ペトコヴィッチのようにボールキープに優れつつ、よりスピードがある」と表現した。これはクロアチア人読者に向けた最大級の褒め言葉に近い。ペトコヴィッチはクロアチア代表として2022年W杯にも出場したストライカーであり、そのタイプとの比較は細谷の評価が「お世辞レベル」でないことを示している。

 161試合37ゴール、日本代表9試合3得点。数字だけ見れば突出した量ではない。だが自陣深くまで下がってボールを引き出し、そこから一気に縦へ抜け出すプレーは、ディナモが採用する強度の高いトランジションスタイルとの親和性が高い。現地メディアが「興味深い存在」と表現した含みは、決して薄い関心を指すものではないだろう。

 ただし、ここには拭えない「前例」が存在する。

 過去にダバツ氏が直接推薦し、ディナモ入りを果たしたMF金子拓郎(現浦和レッズ)は「数試合で素晴らしいプレーを見せたものの、最終的には十分に適応できなかった」と『nacional』は明記している。荻原拓也も現在は浦和レッズに戻っている。クロアチアへ渡った日本人選手が、必ずしもその地で花を咲かせられないという現実は厳然と存在する。

 大迫にとってはポジションの問題も重くのしかかる。日本代表ではGK鈴木彩艶(パルマ)の「牙城」を崩せていない。海外移籍で代表の正守護神の座を奪いにいくという論理は成立するが、クロアチアリーグが「鈴木彩艶超え」への近道になるかは、また別の話だ。

 ディナモはクロアチア1部屈指の強豪だが、金子の失敗例を踏まえれば、今回もまた「日本人の挑戦」が美談のまま終わらない可能性を、現実として直視しなければならない。

 200万ユーロという数字の妥当性も、細谷を「ペトコヴィッチの後継者」として見るクロアチアの視線も、どちらも一方的に楽観できる材料ではない。川崎と鹿島の試合を視察しただけに、大迫や細谷のみならず、3人目の日本人選手も候補に含めたとみられるが、日本人選手がディナモで成功を収められるのか疑問符が付く。