高校サッカー 移籍

高岡伶颯らの欧州移籍で元選手指摘「一昔前と違う」Jリーグの問題点とは

高岡伶颯 写真:Getty Images

 日章学園高校サッカー部所属のU19日本代表FW高岡伶颯は、日本代表DF菅原由勢所属サウサンプトンへの加入が内定。本人がJリーグを経由せず欧州へ移籍することの決断理由を語っているが、ABC契約撤廃、新人選手の年俸引き上げというJリーグの改革は不十分であるかもしれない。

 高校1年時から全国高校サッカー選手権の舞台に立つなど、世代屈指のストライカーとして知名度を上げている高岡。2023年開催のFIFA U17ワールドカップで4ゴールを挙げると、翌2024年には飛び級でU19日本代表に選出。6月にサウサンプトンへの加入が決まったことにより、注目を集めている。

 2025年渡英予定の同選手は先日、元Jリーガーである那須大亮氏と対談。同氏のYouTubeチャンネルで10月26日に公開されているが、海外移籍に至るまでの過程について以下のように語った。

 「(海外クラブから)最初に見られたのは、AFC U17アジアカップの最終予選。U17W杯で4ゴールという形で大会を終えたのが、スカウトの目に止まった。4ゴールを決めたからということではないと思うけど、アピールすることができた。今年3月にデュッセルドルフの高校選抜の大会があって、大会終了後にサウサンプトンのトライアウトを受けに行った」

 高卒での海外挑戦を決断した理由については、「FIFAワールドカップで優勝する、プレミアリーグで活躍することが僕の目標だったので、Jリーグを経由してもよかったけど、今しかないチャンスを絶対に掴みにいくという気持ちだった」と語った高岡。サウサンプトンから正式オファーが届いたタイミングは、「トライアウトを受けた後、少し時間が空いてという感じ」だったという。

 神村学園高等部のU18日本代表FW名和田我空が、MF鈴木唯人擁するデンマーク1部ブレンビーIFの練習に参加したほか、DF吉永夢希が高卒でベルギー1部KRCヘンクへ加入するなど、高卒での海外挑戦という志向が強まっている日本サッカー界。Jリーグは契約制度の大幅改定(ABC契約の廃止)、高卒・大卒1年目のJリーガーの上限年俸額を1200万円に引き上げることを決めている。

 しかし高岡のように、欧州トップレベルでのプレーを目標に掲げる有望株は多いはず。那須氏も「海外でプレーしたい、W杯で優勝したい、UEFAチャンピオンズリーグで活躍したいという選手が増えてきている。一昔前ではW杯出場などが目標と言われていた。目標の視座が一昔前とは全然違う」と述べているだけに、Jリーグには今の若手選手の思いにマッチするような施策が求められそうだ。