公式戦3試合ぶりとなるホームでの戦いを0-0の引き分けで終えたコンサドーレ札幌。状態を上げつつあるガンバ大阪を相手に、上々の戦いを見せた。ミハイロ・ペトロビッチ監督も「札幌に来てからのベストゲームの1つ」と語るなど、引き分けはしたものの内容には満足しているようだ。 今回は、第13節で見えてきた札幌の強みと課題を、ここまでのリーグ戦を踏まえてご紹介する。
サイドでの仕掛け
5-3のブロックを組むG大阪に対して、3CBに1トップと2シャドー、両WBにWBを当て、2ライン間に人を配置しつつ、最終ラインとは1対1の関係性を築いた札幌。この人の配置は狙い通りだろう。ただ、サイドでの仕掛けの少なさは、相変わらず目に付く。G大阪としては仕掛けの頻度が低いために中央の門を閉じるディフェンスに集中。最終的にゴール前で仕事をさせなければよいと割り切ることができた。
もちろんセットされた状態であっても、得意のサイドチェンジを行い一時的にマークを剥がすことはできる。ただ、結局は中央を閉められているため、ゴールにつなげることができなかった。48分や52分に中野嘉大が見せたような仕掛けを増やしていくべきだろう。また、流れの中からではあるが、福森晃斗が50分に見せたような外から内側へのドリブルも効果的だ。
A・ロペスの不在は守備にも影響
札幌は攻撃時と守備時でシャドーの枚数を変更した。攻撃時は2シャドー、守備時はチャナティップ・ソングラシンのみという形だ。ただ、この試合でシャドーに入ったルーカス・フェルナンデスはトップの仕事をこなしきれていなかった。彼が慣れていない分、頻繁に攻守が入れ替わるシーンではポジションの入れ替えが追い付かない場面が散見した。
前線の枚数や形を攻守で変更しているのは、G大阪のビルドアップなどに対して、人を当てやすいからだろう。特にチャナティップはボランチをマークしつつ、ビルドアップを誘導する能力が高い。この試合でもしっかりと矢島慎也をケアしていた。逆に攻撃時は2シャドーにすることでCBやボランチから逃げやすくなる。ルーカスがトップとして適応できれば、練度もあがり効果もあがるだろう。
チャナティップとルーカス
前半にチャナティップとルーカスがエリア内で、近い距離でのコンビネーションにより、エリア内の密集を抜け出しかけた。この形を意図的に作り出すのは今後もありだろう。いくらエリア内に人を配置しても、あれだけの狭いスペースを抜け出されてしまうと、DFとしては非常に難しい対応を迫れられる。A・ロペス不在時の1つの武器になるはずだ。
ベストゲーム
「札幌に来てから、ベストゲームの1つ」と語ったミハイロ・ペトロビッチ監督。引き分けに終わったのになぜ?と思う方もいるだろう。おそらく、ペトロビッチ監督は試合の進め方を言っている。試合後にリスクマネジメントについて語っていたが、札幌はG大阪のアデミウソン、ファン・ウィジョという強力な2トップを、自分たちの戦い方を崩すことなく封じ込めることができたことを評価しているはずだ。
G大阪は札幌のCBとG大阪のCFが1対1の関係になるのを常に待っていた。1対1になった瞬間にCFに縦パスを入れ、1度サイドに逃がしてからもう1枚のCFが裏を狙うという形は非常に多かった。ただ、札幌は基本的には3対2という数の優位性を活かしながら、無失点に抑えきった。この試合をプラン通りに運べたということだ。
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