選手としてドーハの悲劇(1994年、アメリカW杯出場を逃したイラク戦)を経験したからこそ日本代表チームを進化させ、新たなステージに導くことができた森保一監督。2022年のカタールW杯ではラウンド16のクロアチア戦で敗れ、初の準々決勝進出は果たせなかったものの、ドイツ戦やスペイン戦では2-1で白星を挙げ素晴らしい戦いを見せてくれた。
その功績により2022年12月28日に日本代表での監督契約が更新され、2026年開催のFIFAワールドカップまでチームを指揮することが決まっている。2023年は9月9日のドイツ戦(4-1)や同月12日のトルコ戦(4-2)で世界一流の代表チーム相手にゴールラッシュの勝利を収め話題となった。
ここでは、そんな第2次森保ジャパン(2023年3月以降)に初招集された16人の選手と、それぞれの市場価値をランキング形式で紹介しよう。(Transfermarktより。日本円は12月17日時点のレート換算)
16位:三浦颯太(川崎フロンターレ)1,500万円
初招集:2024年1月(タイ戦)
2021年から特別指定選手として所属していたJ2のヴァンフォーレ甲府で今2023シーズンからトップチームに正式加入したDF三浦颯太(23)。先日(12月22日)、川崎フロンターレへの来季加入が発表されたばかりだが、タイ戦に向けての代表招集時はJ2所属だったこともあり、多くの人にとって予想外の選出だったに違いない。
しかし、J2クラブでありながら甲府がAFCチャンピオンズリーグ(ACL)で戦っていることを忘れてはいけない。2022年の天皇杯(JFA全日本サッカー選手権大会)でクラブ史上初となる優勝を遂げ、ACLへの出場権を獲得。同大会ではメルボルン・シティ(オーストラリア)やブリーラム・ユナイテッド(タイ)、浙江FC(中国)を含むグループステージで結果を出し、2024年2月に行われる決勝トーナメントに進出している。
J2リーグ戦では全試合の半分ほどしかプレーできなかった三浦だが、ACLでは3試合に出場し1アシストをマークするなどチームに貢献している。足元の高い技術と突破力を武器に、代表戦でも出場機会を得られるだろうか。
15位:野澤大志ブランドン(FC東京)3,100万円
初招集:2024年1月(タイ戦)
FC東京のアカデミーで育ち、2020年にトップチーム昇格を果たしたGK野澤大志ブランドン(20)。ルーキーイヤーはJ1での出場機会を得られず、翌2021シーズン8月に期限付き移籍したJ3のいわてグルージャ盛岡では加入早々レギュラーの座を掴みチームのJ2昇格へ貢献した。FC東京に復帰した2023シーズンは、第22節のセレッソ大阪戦(1-0)でスタメン出場。J1リーグデビューを果たし、レギュラーとして定着した。
2024年1月1日のTOYO TIRES CUP(タイ代表戦)で森保ジャパン初招集となった野澤だが、過去には日本代表ユース選手として2018年にAFC U-16選手権での優勝に貢献。さらに、翌2019年にブラジルで開催されたFIFA U-17ワールドカップでもメンバー入りしている。
ハイボール時に役立つ193cmの長身と急なボール変化にも対応できるスピーディーな判断力を併せ持つ野澤は、これからの代表チームで守護神となる可能性が高い。元日の試合で代表デビューを飾れるか注目だ。
14位:バングーナガンデ佳史扶(FC東京)7,000万円
初招集:2023年3月(ウルグアイ戦、コロンビア戦)
2023年、前述の野澤同様FC東京から第2次森保ジャパンに初招集されたのがDFバングーナガンデ佳史扶(22)だ。すべてのプレーで前へ前へと現れる超攻撃的なサイドバックで、その積極的な精神力は現在の日本代表に相応しいといえるだろう。
バングーナガンデの代表初招集は今年3月のキリンチャレンジカップ。同月24日のウルグアイ戦(1-1)は控えだったが、28日のコロンビア戦(1-2)でA代表デビューを果たした。しかし、59分に右膝を負傷しピッチを離れている。
さらに、5月24日に行われたYBCルヴァンカップ(ルヴァン杯)グループステージ第5節のC大阪戦で右脛腓靭帯を損傷。そのため、9月中旬までピッチから離れることとなり、その後の代表戦に招集されることはなかった。2024年、再び招集され出場機会を得ることはできるだろうか。
13位:角田涼太朗(横浜F・マリノス)8,500万円
初招集:2023年3月(ウルグアイ戦、コロンビア戦)
横浜F・マリノスのDF角田涼太朗(24)も2023年3月に初招集され、日本代表のユニフォームを着る予定だった。しかし、3月19日に怪我のため参加を辞退することが発表され、名古屋グランパスのDF藤井陽也が追加招集された。
2023シーズンの明治安田生命J1リーグでは、開幕戦から第10節まで第6節以外の9試合にフル出場し、横浜FMを支えた角田。対人守備や空中戦の強さ、足元の技術などセンターバックとしての技術は、森保ジャパンに必要な人材だ。
浦和レッズのジュニアユースを経て前橋育英高等学校に進学。2年時には全国高校サッカー選手権大会で準優勝、3年時には優勝している。筑波大学在籍時はU-20日本代表にも選ばれており、左利きのセンターバックとして複数のJクラブに注目されていた。怪我に泣かされた今シーズンの角田。日本代表として活躍するためにも、来季は怪我のないシーズンになることを願う。
12位:半田陸(ガンバ大阪)1億900万円
初招集:2023年3月(ウルグアイ戦、コロンビア戦)
2023年、J2のモンテディオ山形からJ1のガンバ大阪へと完全移籍したDF半田陸(21)は、若手でありながら多くの試合にフル出場し、チームの守備の柱となっている。
2017年から2022年までU-15、U-16、U-17、U-23の各代表に選抜され、多くの経験を積んだ半田。しかし、森保ジャパンに初招集された2試合では残念ながら出場機会に恵まれなかった。
守備をしっかりこなしつつ攻撃にも積極的に参加するバランスの良さが特徴で、山形時代にはASローマ(セリエA所属)への移籍が噂されるなど、海外クラブが興味を示すレベルの選手だ。
9位タイ:藤井陽也(名古屋グランパス)1億2,400万円
初招集:2023年3月(ウルグアイ戦、コロンビア戦)
怪我のため辞退したDF角田涼太朗に代わり追加で選出されたDF藤井陽也(22)。藤井にとってこれが初招集となった。カバーリング力が高く、攻撃においても名古屋グランパスで重要な役割を果たしている。前への正確なパスで攻撃の起点を作るだけでなく、ドリブルで攻め上がる技術も備えている。
3月の代表戦では出場機会に恵まれなかったが、2023シーズンはJリーグ全試合に出場し2ゴール3アシストを記録した。その活躍が目にとまり、元日のタイ戦に招集された藤井。今度こそ代表デビューを果たす可能性が高いと思われる。
現12月30日時点で公式発表にはなっていないが、ベルギー1部のアンデルレヒトが藤井にオファーを出したとの情報もある。フィジカルモンスターが揃っている欧州サッカー界でセンターバックのスキルを磨けば、今後の日本代表において重要な存在になることは間違いない。
9位タイ:川村拓夢(サンフレッチェ広島)1億2,400万円
初招集:2023年6月(エルサルバドル戦、ペルー戦)
サンフレッチェ広島のユースで育ち、2018年にトップチームに昇格したMF川村拓夢(24)。フィジカルの強さと90分走り続けるスタミナを併せ持ち、左足のキック精度もピカイチ。今2023シーズンはカップ戦を含み5ゴール4アシストを記録した。
今年6月に初招集されるも体調不良のため離脱。代わりに浦和レッズのMF伊藤敦樹が追加で選出された。無念の途中離脱から約半年。1月1日のタイ戦に向けて再び代表入りを果たした川村は、離脱時の悔しさを振り返るとともに森保監督から評価されているボックストゥーボックスなど自身の特徴を活かしたいと出場に意欲をみせた。
昨2022シーズンには第28節清水エスパルス戦で自陣から約60mのスーパーロングシュートを決め、年間最優秀ゴール賞に輝いた川村。今度こそ代表デビューを果たし、世界を魅了するパワフルプレーを披露してほしい。
9位タイ:佐野海舟(鹿島アントラーズ)1億2,400万円
初招集:2023年11月(ミャンマー戦、シリア戦)
今年11月、FIFAワールドカップ26アジア2次予選に招集されていたMF伊藤敦樹(浦和レッズ)が怪我で離脱したため、緊急招集で代表メンバーに初加入となった鹿島アントラーズのMF佐野海舟(23)。世代別を含め、これまで代表への選抜経験はなく、招集時は驚きを隠せなかったようだ。
しかし、佐野の招集は紛れもなく実力に裏打ちされたものだった。町田ゼルビア所属時の2022シーズンには、90分平均のボール奪取数20でJ2リーグ1位を記録。その優れた能力が注目を集めた。2023シーズンからの鹿島移籍後も、自身の得意なプレースタイルを発揮し多くの試合でスタメンに名を連ねている。
現在、森保ジャパンでのチームバランスにおいて欠かせない選手のひとりMF遠藤航(リバプール)。しかし、遠藤と似た特長を持つ佐野の登場により、日本代表の中盤におけるオプションが増え、安心感が増しているのは間違いない。
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