
アルビレックス新潟、浦和レッズ、水戸ホーリーホック在籍歴のある日本代表MF伊藤涼太郎は、2026年夏にベルギー1部シント=トロイデンVV(STVV)を退団する模様。本人が欧州5大リーグへのステップアップ移籍を望んでいるが、夢を語る口と、実際に届いている市場の声には、無視できない温度差がある。
伊藤は30試合で7ゴール5アシストを記録。昨季の36試合2ゴール3アシストという停滞から一変し、28歳にしてキャリアハイに近い数字を叩き出している。ベルギー有力紙『Het Belang van Limburg』によると、STVVは契約延長を求めているが、伊藤はすでにオファーを拒絶。今季終了後、フリートランスファーでの退団が既定路線となった。
注目すべきは、約5週間前の動きだ。
伊藤は旧事務所『ジェブエンターテインメント』を離れ、大手エージェント会社『CAA Stellar Germany』と新たに契約を締結した。同事務所は堂安律(アイントラハト・フランクフルト)、町田浩樹(ホッフェンハイム)、橋岡大樹(ヘント)、安部大晴(FCルツェルン)らを顧客に持ち、欧州市場での日本人選手の売り込みを得意とする。フリー移籍を直前に控えたこのタイミングでの代理人変更は、明確なシグナル。移籍の布石以外の何物でもない。
では本人は何を望んでいるのか。伊藤は『Het Belang van Limburg』に対し、こう語っている。「欧州5大リーグのいずれかでプレーしたいです。もし選べるなら、ラ・リーガが第一希望です。FCバルセロナが好きなクラブで、ネイマールが大きな憧れです」。
率直に言えば、これは夢の話だ。
一方で、実際に動いているのはブンデスリーガ方面。ベルギー紙『Het nieuwsblad』によれば、ハンブルガーSVが3月中旬のヘンク戦にスカウトを派遣しており、昨夏に続く2度目の本格調査を実施。現在ブンデスリーガ2部に在籍するそのクラブが、伊藤の最有力候補として浮上している。バルセロナとは文字通り、別次元の話だ。
むしろCAA Stellar Germanyの「ドイツ人脈」を踏まえれば、この流れは必然とも言える。同事務所はラファエル・オニェディカ、シャルル・デ・ケテラーレ、フェルミン・ロペスといった選手も抱えるが、日本人選手の主戦場として実績があるのはブンデスリーガ圏。代理人の選択からして、ドイツ行きは想定の範囲内だったとも読める。
伊藤は日本代表復帰も見据える。「STVVの試合が細かくチェックされていることは分かっています。自分はできる限りのプレーを見せるだけ」と語るが、北中米W杯のメンバー選考に割って入れるかは微妙。シーズン残り試合でどれほどのゴールやアシストを叩き出すのか、その結果が去就を決定づけるのは間違いない。
バルセロナを夢見ながら、ハンブルガーSVへのシナリオが着々と進む。「希望する移籍先と実際のオファー先が一致しない」という現実に、選手本人はどのような感情を抱いているのだろうか。
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