Jリーグ FC岐阜

J3岐阜、川西翔太インタビュー【前編】得点ランク首位につける理由とは

JFLマルヤス岡崎でプレーするFW平井将生(2019年11月)写真提供:筆者

岐阜加入後に得点量産の理由は?

今季の川西は身長が184cmくらいに見えるほど(実際は177cm)大きな存在感を放っている。「止めて蹴る」基本技術が高く、正確なポストプレーやキープ力の高さ、積極果敢な前線からのプレスや味方が使うためのスペース作りなどが際立つ。これまでJリーグ通算241試合に出場し44得点(J1:33試合4得点、J2:160試合21得点、J3:48試合19得点)を挙げてきた川西だが、うち6割以上に当たる27得点は岐阜に加入して以降の直近約2年間の記録だ。さらに前半戦だけでリーグトップの9得点を挙げている今季は、量産体制に入っている。

「実は今季開幕前の練習試合では全く点が獲れていませんでした。開幕戦(ホームでヴァンラーレ八戸と対戦して0-0)で獲れなかったのが大きかったのかもしれません。点を獲れるようなシチュエーションも作れなかったので。練習試合と公式戦の違いや『今のサッカーでどう点を獲っていくのか?』を考え、どんどんプレーにも変化を加えていっていたら、ポンポンと獲れるようになって来ました」

ー大卒プロ1年目のG大阪でプレーしていた頃から、ご自身のプレースタイルは大きくは変わっていないようにも思うのですが?

「ガンバを出てからは中盤でプレーすることも多かったのですが、今前線(FW)に戻ってあの頃の感覚が戻ってきたと思います。でも今は、ボランチとか中盤でプレーしてきた経験が大きいし、それが活きていると思いますね」

ー今季はクロスからのゴールも多いと思いますが、相手ディフェンダー(DF)と駆け引きをする上ではどのようなことを考えているのでしょうか?

「僕は相手DFが足を止める瞬間を狙っています。クロスが上がる瞬間にDFはボールを見るので、どうしても足が止まるんです。裏へのボールが出る瞬間というのもDFはラインを押し上げるのを止めるので、その瞬間も足が止まるじゃないですか?その一瞬を逃さずに動き直せば、DFは付いて来れないんじゃないかなって考えています」


FCティアモ枚方MF二川孝広(ガンバ大阪時代)写真提供:Gettyimages

原点はG大阪時代の平井将生

子供の頃の川西にはサッカーをテレビで「観た」記憶がない。サッカーは専ら「プレー専門」だった。しかし一緒に練習をするチームメイトや試合をする相手、同世代の選手たちのプレーを「観て学び」、自らのプレーに落とし込んだり参考にして来たようだ。そして2011年にG大阪でプロデビューした頃からは、チームメイトだったFW平井将生(現FCマルヤス岡崎)の存在が大きかったという。

「ガンバ時代にチームメイトだった平井将生の影響は強いですね。動き出しがメチャクチャ巧かったので、ガンバにいる時は身近にいる将生の動きをずっと見て勉強していました。今はオグリさん(※1)や寿人さん(※2)の動きを動画などで見ているのですが、やっぱりベースとなる僕の原点は将生です。ガンバに将生がいたことは自分にとってかなり大きかったと思います」

※1)元日本代表FW大黒将志の愛称:現G大阪アカデミーストライカーコーチ、下部組織から所属したG大阪などJ9クラブで通算177得点。フランスやイタリアなどでもプレー。
※2)元日本代表FW佐藤寿人:現サンフレッチェ広島などで活躍。J1とJ2両方で得点王に輝くなど、Jリーグ歴代最多220得点。現在は解説や指導者として活躍。

「ガンバでトップチームの試合に出れなくなっていた頃、近くにはいつも(平井)将生がいて、練習試合では『アイツが点取ったら自分も取らないと』と、競い合っていました。アイツはトップの試合にも出ていて点も取れていたので『将生がやれるのなら自分にもできる!』とも思っていたんです。でも、やっぱり将生の動き出しやシュートの質は高くて、そう考えると自分にとっては偉大な先輩だなって思っていました。自分の方が年下なのに“アイツ”って言ってますけど(笑)。本当にリスペクトしています」

大丈夫です。その平井選手に「理想のパサーは?」と伺うと、大先輩の二川孝広選手(元日本代表MF、現FCティアモ枚方)のことを指して「二川です」と呼び捨てでした(笑)。

「(笑)フタさん(二川)はゆるキャラですよ。みんなに『扱いにくい』とか『変わってる』って言われてますけど。意外と面白い人で『フタさん、ご飯行きましょう』って言ったら笑いながら『エへへ、行こうか』って連れて行ってくれます。それだけ仲良くしてもらいながら、結婚したこととか子供ができたことは教えてくれませんでしたけどね(笑)。チームの誰にも言ってなかったと思います」

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