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“蟻地獄”J3が空前の大混戦!現首位FC岐阜に見える如実な変化

J3第13節の鹿児島戦、川西翔太(10番)の決勝点を喜ぶFC岐阜の選手達 写真提供:FC岐阜

明治安田生命J3リーグが空前の大混戦である。昨季2020シーズンにブラウブリッツ秋田が開幕から28戦無敗の独走優勝で幕を閉じたのとは一転、今季2021シーズンは全30節中の13節を終え、首位のFC岐阜から6位のテゲバジャーロ宮崎までが勝点5差でJ2昇格圏となる2位以内を争っている。

昨季をもってJ2へ昇格した秋田とSC相模原の2チームと、活動終了となったガンバ大阪U-23とセレッソ大阪U-23の計4チームがJ3を離れた。一方、JFL(日本フットボールリーグ)からJ3へ昇格して来たのは宮崎のみ。今季のJ3は15チームで奇数となるため、毎節1チームは試合が無い。

今週末の第14節は現在2位のロアッソ熊本、翌週第15節は首位の岐阜が“休み”となる。首位と2位が1試合多い状況であるため、6チームが1ゲーム差の範囲でひしめき合っているようなものだ。首位の岐阜は13試合消化で8勝1分4敗の勝点25。すでに4敗を喫しているため、リーグ全体で勝点を奪い合う様相を呈している。


ブラウブリッツ秋田サポーター 写真提供:Gettyimages

秋田が示した“蟻地獄”J3を制するレシピ

J3には降格制度がなくプロ契約ではない選手がいたり、昨年まではU-23チームが所属していたこともあって競技力が問われることがある。しかし実際は、J2からの降格クラブがなかなかJ2へ再昇格できない“蟻地獄”にもなっている難しいリーグだ。

Jリーグは2014年のJ3創設に伴い、2012年からJ2に降格制度を設けた。昨季は新型コロナウイルス感染症の影響で降格制度がなかったが、それまでの過去8シーズンでJ2から降格したのは延べ11チーム(J3との入替戦に敗れたチームも含む)であり、その中でJ2へ戻れたのは5チームのみ。さらに降格初年度でJ2復帰を果たしたのは、2016年の大分トリニータのみである。

そんな“蟻地獄”を独走した昨季の秋田は、J3を制するためのレシピを提示したとも言える。

昨季の秋田はボール支配率41.8%、1試合の平均値ではパス本数290.7本、ペナルティエリア(PA)内への進入回数8.5回、さらにドリブルで仕掛ける回数など、攻撃面のスタッツがなんと全て最下位。にも関わらず、リーグで2位タイの55ゴールを挙げるという生産性の高いチームだった。

さらに秋田の、攻撃面で「パスを繋がずにボールを持たない」コンセプトは、守備面のクリア回数が1試合平均リーグトップである30.1回という数字にも表れていた。そして失点は断トツの最小である18失点。しかも、リーグ優勝決定後の6試合で10失点を喫しているため、28試合消化時点の8失点という圧倒的な堅守が独走優勝の要因だったのだ。

ちなみにボール支配率とパス本数のスタッツが秋田に次いで少ない17位だったのは、昨季2位でJ2昇格を勝ち取った相模原だ。クリア回数も3位で秋田と同じ傾向が見えるため、少なくともこれが「現在のJ3で勝つための最適解」であるのは確かである。

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