Jリーグ 川崎フロンターレ

川崎FW小林悠の代表復帰を推す理由。“違い”を作る日本のトーマス・ミュラー

小林悠 写真提供:Gettyimages

「鬼さん(鬼木監督)のJ1通算100勝目は絶対に自分のゴールで決めたいと思っていました。すごくお世話になっている、感謝している監督なので良かったです」

5月30日に開催された明治安田生命J1リーグ第17節、川崎フロンターレVS鹿島アントラーズは、1-1の同点で迎えた後半アディショナルタイム94分の決勝点により、川崎が勝利。開幕20戦無敗というJ1リーグ新記録を樹立した。また、この日の勝利により川崎の鬼木達監督はJ1通算100勝目。2017年から初めてトップチームの監督を任されて約4年半、156試合目での大台到達は大偉業である。

冒頭の言葉は、93分からピッチに立ち、投入直後のファーストタッチで決勝点を奪う勝負強さを見せた元日本代表FW小林悠によるものだ。決勝点も見事だったが、途中出場が多くなっている小林が「監督に感謝している」と言葉を残す辺りに川崎のチームとしての一体感や雰囲気の良さがうかがえ、圧倒的な強さにも頷けた。

その後、川崎の開幕からの無敗記録は21試合に延び継続中。鬼木監督のJ1通算記録は現時点で101勝36分20敗となっている。


2017年Jリーグ年間表彰式で最優秀選手賞を受賞する小林悠 写真提供:Gettyimages

J1歴代8位の129ゴール、途中出場得点21も歴代3位

本稿執筆時点で、小林はJ1歴代8位の通算129得点を挙げているJリーグ屈指のストライカーである。しかし、昨季の彼はJ1で27試合に出場中、先発出場は13試合に限られた。来日2年目を迎えていた元ブラジル代表にしてロンドン五輪の得点王であるFWレアンドロ・ダミアンの控えに回ることが多くなり、途中出場が多くなった。

出場時間に直せば、2017年の2951分間がキャリア最高のプレータイムである。川崎がJ1を初制覇し、小林自身がリーグMVP、得点王、ベストイレブンの個人3冠を達成した年だ。以降は2018年の2206分、2019年の2119分と続き、昨季は1316分と急激にピッチに立つ時間が減った。

途中出場が多くなった昨季、それでも小林は14ゴールを記録。それも途中出場から8ゴールも奪っている。今季もここまで9ゴール。途中出場からは2ゴール奪っている。プレータイムもリーグの約半分となる21試合を消化した時点で730分間。1ゴールに費やした時間が昨季は94分、今季も81.1分と、ハイペースな得点率を記録している。

また、拓殖大学から川崎へと加入したプロ入り直後にもスーパーサブ(実力者でありながらあえてのサブメンバー)起用が多かったこともあり、キャリア通算の途中出場ゴール数では鹿島戦の決勝点で歴代3位の21得点目。23得点で2位の森山泰行氏、27得点で1位の播戸竜二氏という元日本代表のOBを越える新記録樹立の可能性も高まる。

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