その他 Jリーグ

元Jリーガー渡邉大剛氏、独占インタビュー「アスリートのキャリアとは?」

写真提供: 渡邉大剛氏

ビジネスマン兼アマチュア選手として語る「アスリートのキャリア」とは

2019年夏から品川CCでプレーしながらリスタンダード株式会社でプレーされていますね

渡邉:品川CCに入団した経緯は、1番下の弟、三城が同クラブのGMと知り合いだったことです。品川が選手を探していて、弟の紹介でGMの吉田祐介さんと話しました。そこで吉田さんから「品川CCでプレーしてほしい」と言われたのですが、当時はサッカーを選手としてプレーするつもりはありませんでした。ただ、リスタンダードでブランディングアンバサダーとして働きながらという条件に魅力を感じ、もう1度チャレンジすることを決断しました。

Jリーグでの活躍を経てから社会人リーグでプレーするにあたって、葛藤や悩みはありましたか?

渡邉:とてもありました。引退する時にJリーグより下のカテゴリーでプレーはしないと決めていたのと矛盾していますし、それこそプライドもありました。ただ、それでも生活を安定させる必要もあり、リスタンダードで働いて社会経験を積みながらプレーしようと思いました。

リスタンダード株式会社にはどのような形で関わっているのでしょうか?

渡邉:業務委託という形で携わらせてもらっています。現在はコロナ禍で仕事内容全てオンラインで週1回の定例ミーティングへの参加、大学のサッカー部に所属する学生を対象にセミナーを開催したり、キャリア、就活の相談などを受けたりするのがメインですね。

業務委託などで仕事をする個人事業主が増えました。コロナ渦の状況で、今後生き残るために必要なことは何だと考えていますか?

渡邉:私が思うのは、自分にしかない武器を身に付けることです。業務委託や社外取締役として企業に属さなくても自分の知識や経験を生かせる時代になっていますよね。そうなってくると、やはりその人でしか伝えられないことやその人にしかできないことを持っている人が強いなと思っています。個人で大きな力を持っている人はこれからも生き残っていけるでしょうし、色んな企業から必要とされると思います。今までは、出社して仕事をするのが普通でしたが、今はリモートでできる仕事も増えてきました。その中で、時代を読む力は必要になってくると考えています。自分も自問自答をしながら力をつけていきたいです。

写真提供: 渡邉大剛氏

サッカー選手を始め、引退後に苦労するアスリートは多くいると思いますが、それについての考えや現役アスリートに伝えたいことは?

渡邉:アスリートのまわりには多くの人がいるため、人脈がまわりに落ちているのにそれに気づいていなかったり、生かせていないと思います。現役中はサッカーのことしか考えられないという選手もいますが、引退は必ず訪れるので、準備は必要です。サッカー選手は小さい時からサッカーだけやってきた人がほとんどなので、引退後にサッカーがなくなり、やりたいことを見つけるのは難しいでしょう。ただ、現役時代に培った人脈とか強みを生かしていくことが必要になるんじゃないでしょうか。

最近は本田圭佑選手のように現役選手が色んな活動をしています。批判もあるようですが、サッカー界全体に対する課題やセカンドキャリア問題について感じることはありますか?

渡邉:周りの目は気にする必要はないと思います。自分の人生に誰も責任は取ってくれないですし、全て自分の責任である以上キャリア形成していくのは自分です。クラブ側からすると大々的に副業をしているとわかると決して快く思わないかもしれないですが、これからは複業の時代です。なのでサッカー選手としてしっかり仕事を全うする上で複業やセカンドビジネスでも成功できればその選手の価値も上がりますし、また所属してるクラブにも大きなメリットがあるんじゃないかと思いますね。最近は現役時代からサッカー以外の事や、引退後の事も見据えている選手が増えてきたという印象です。

アスリートにしかない武器やアスリートならでの価値は引退後も生かせますか?

渡邉:アスリートでない人も継続力や忍耐力のある人やいますが、アスリートはこれらに長けている人が多いと思います。それが引退し他の仕事となった時にサッカーと同じ熱量を注げるのか、継続できるのかは正直わからないですが、それでもアスリートだから培われたマインドやメンタルはありますし、その力をどう転用、汎用性を持ってやれるのかが大切だと思います。


取材後記:渡邉氏の話から、Jリーグの世界の厳しさや代理人の仕事の大変さを具体的にイメージすることができた。また、26歳前後という平均引退年齢の中で、現役中に引退後のことを考えて準備することの大切さを感じた。アスリートの引退後の人生も考慮したJリーグやサッカー界のルール改善にも期待したい。

ページ 4 / 4

名前:TK
趣味:サッカー観戦
好きなチーム:浦和レッズ、東京ヴェルディ、川崎フロンターレ、大宮アルディージャ、南葛SC
サッカースクールを運営しながら、複数のサッカー、スポーツ媒体でライターを経験。国内サッカー全般(4種から1種まで)幅広く観戦しています。

筆者記事一覧