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元Jリーガー渡邉大剛氏、独占インタビュー「アスリートのキャリアとは?」

写真:フットボール・トライブ

引退後は、埼玉に戻ってセカンドキャリアをスタート

引退後の代理人の仕事について、そのきっかけや経緯を教えてください

渡邉:セカンドキャリアで長崎に帰らず、埼玉に来たのは、大宮時代に出会った方がたくさんいたからです。その方たちにまずはセカンドキャリアについて相談しようと思ったのがきっかけでした。現役の時から「セカンドキャリアはサッカー以外の事がやりたいな」と漠然と思っていたのですが、いざその状況になった時に何からどう始めたらいいのか、また自分にはサッカー以外に何ができるのかもわからない状態でしたね。なのでそこから色んな人に会いに行くようにしたんです。

そこでせっかくこれまでサッカーのキャリアを積み上げてきたんだから全てを切り離す必要はないんじゃない?という事を言われて、じゃあサッカーに関する仕事で自分が興味あることは何かとなった時に代理人という職業が頭にパッと浮かんできて、元々お世話になっていた代理人の方に誘われた事もあり始めました。

ただ、そんな中でこれまでずっとやってきたサッカーでプロにもなって経験したことを生かさないのはもったえいないと思って、サッカーの仕事を考え始めました。そんな中で企業に属さずにできる仕事を探していました。そして、誘われたこともあって代理人の仕事を始めました。

代理人というと裏方の仕事になりますよね。主な仕事内容は一言で言うと?

渡邉:代理人の主な仕事は契約選手がクラブとの契約交渉の間に入って、年俸や移籍の交渉をするのが主な仕事になります。普段は契約選手の試合をチェックしたり、必要に応じて連絡を取っています。

現在はproduction9のエージェント部門に所属されていますが、同社とはどういう関わり方をされているのでしょうか?

渡邉:まず、代理人をするには法人組織に属していることが条件になります。私が現役時代に最後にお世話になっていた代理人の方がproduction9に所属していたので、その方と一緒に代理人の仕事をさせてもらっています。私はそこのエージェント部門に所属しています。

今では若手選手も含め、多くの選手が代理人契約しているとのことですが、契約まではどういう経緯ですか?

渡邉:試合をチェックして良い選手だなと思ったら、エージェントがついているかどうかなど、その選手をリサーチします。まだついてなければ、知り合いのチームメイトや関係者から紹介してもらいコンタクトを取りますね。そこからご飯やお茶したりして実際に話を聞き、何回かやり取りをした後にご縁があれば契約に至るという形です。契約する前の段階、もしくはコンタクトを取る段階でクラブの強化部に一言挨拶するのですが、段階をしっかり踏まないと強化部といい関係性も築けないのでそこは慎重になりますね。

契約されている複数の選手とは、連絡を頻繁に取ったり、深い関係にありますか?

渡邉:選手によっても変わると思うんですが、こまめに連絡する時期とそうではない時期があるかと思います。試合結果や内容はチェックしますが、例えばゴールを決めた後には「ゴールおめでとう」など連絡しやすいですが、試合に絡んでなかったりケガで離脱してたりなんかする場合は一度連絡を入れてそこから少し間を開けるなどタイミングを見て連絡するようにしています。

代理人の仕事のやりがいや課題とは?

ご自身も現役時代は代理人契約されていましたが、現役時代に思っていた代理人に対する考え方は変わりましたか?

渡邉:現役時代は代理人に払っていた報酬に対しては「こんなにいっぱい払うのか」と思っていました。ただ、実際に自分でやってみると、大変なことも多く、そのあたりの考え方は大きく変わり、やはり経験しないと分からないということを感じています。

代理人に対して感じる課題や「もっとこうなれば良い」というのはありますか?

渡邉:マネタイズの仕組みでしょうか。海外のエージェントは選手が移籍した時の移籍金の数%がエージェントにも入りまたその金額も大きいですが、日本国内の場合だと移籍金はエージェントには関係ありません。選手の年棒の数%を選手からいただく形になっているのでこの仕組みが変わればいいなと思っていますね。

ではやりがいを感じたり、良かったと思うのはどんな時ですか?

渡邉:選手の希望が叶った時ですかね。今はまだ、多くの選手と契約しているわけではありませんが、昨年の冬に初めて契約交渉の場に立ちました。1人の選手は戦力外になってしまったのですが、所属先を見つけることができ、もう1人の選手も他クラブに移籍することができました。

今後、代理人を続け仕事を得ていく中で、必要だと思うことや伸ばしていきたいことはありますか?

渡邉:私が代理人をやる中でもっと付加価値をつけていきたいと思います。私が代理人がやる上での付加価値の1つはプレーヤーとしてJリーグを経験していること、そしてもう1つは、今リスタンダード株式会社でビジネスマンとして働いていることです。もっと社会経験も積んでいき、スキルを身に付けていきたいですね。その社会経験も選手に伝えていきたいですし、選手として現役を引退したあともサポートしていけるようなエージェントになりたいです。

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名前:TK
趣味:サッカー観戦
好きなチーム:浦和レッズ、東京ヴェルディ、川崎フロンターレ、大宮アルディージャ、南葛SC
サッカースクールを運営しながら、複数のサッカー、スポーツ媒体でライターを経験。国内サッカー全般(4種から1種まで)幅広く観戦しています。

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