セリエA ナポリ

ナポリがリバプールに完勝した5つの理由。CLグループCは混戦模様

著者:菊池大将(@yukkenokonoko

パリ・サンジェルマン、リバプールが同居し、死のグループと呼ばれるチャンピオンズリーグ(CL)グループCで初戦のレッドスター・ベオグラード戦を引き分けに終え、グループステージ突破が困難なものになったナポリ。しかし、第2節のリバプールをホームに迎えた一戦は1-0で完勝。リバプールに付け入るスキを与えなかった。今回は、ナポリがリバプールに完勝できた5つの理由をご紹介する。


右サイドバックにマクシモビッチを起用

ナポリはこの試合で右SBにエルサイド・ヒサイではなく本職はCBの二コラ・マクシモビッチを起用した。ナポリのチーム事情から説明するとファウジ・グラムが出場できないことで、ナポリは左SBにマリオ・ルイを起用している。しかし、同選手は守備面に大きな不安があり安定感のないパフォーマンスをリーグ戦で見せている。このマリオ・ルイとモハメド・サラーをマッチアップさせるのは危険だと、カルロ・アンチェロッティは考えたのだろう。アンチェロッティはルイを常に高い位置でプレーさせ、ビルドアップを3バックで行った。これにより、カウンター時のマッチアップはマクシモビッチがサディオ・マネ、カリドゥ・クリバリがサラーになり守備力の高い二人で、驚異的なアタッカーを封じこめることに成功した。また、ルイが高い位置を取ることで、トレント=アレクサンダー・アーノルドを押し込めることにも成功してる。


中盤の構成

ナポリはビルドアップに3バックを採用した。リバプールとのかみ合わせを考えれば、3トップは3バックに、ジェイムズ・ミルナーとナビ・ケイタはマレク・ハムシークとアランにプレッシャーをかけるため、ショートカウンターを食らいやすいように見える。しかし、アンチェロッティはテンション高く喰いついてくるリバプールのインサイドハーフを利用した。アランとハムシークが両選手を中央に惹きつけることでサイドへのパスコースを確保。サイドにはファビアン、ホセ・カジェホンに加えて、高い位置を取っているルイがいるためサイドへの展開はスムーズに行うことが出来た。これがナポリがリバプールのプレスを回避できた理由の1つだ。


マウリツィオ・サッリの遺産

サッリがナポリの選手たちに要求した技術は非常に高く、ついてこれない選手は淘汰された。その結果、サッリが去ったナポリには足下に技術のある選手が多く残った。そのため、3トップに対して3バックがボールを保持しても不用意なロストを見せるとこはなかった。


質的優位性の確保

先ほどの続きになるが、仮に最終ラインからのパスコースを確保できなかったとしても問題はない。無理やりにでも裏のスぺースへロングボールを供給し、相手に回収されたところでロレンツォ・インシーニェとアルカディウシュ・ミリクが猛プレス。その時に高い位置を取っているマリオ・ルイを含めた中盤の選手たち(CMFの2人はリバプールのケイタとミルナーをそのまま逆にマーク)はパスコースを塞ぐことでリバプールにもロングボールを蹴らせる。ナポリの最終ラインは高身長が3人。リバプールの前線には高さが無いため、回収は容易だ。そこからまたビルドアップを再開できる。高さというミスマッチを意図的に作り出した。


アンチェロッティの懐の深さ

多くの監督が、新たに監督に就任したクラブで自身の哲学をチームに植え付けようと躍起になる。しかし、アンチェロッティは非常に柔軟な対応を見せた。リバプール戦の4-4-2の立ち位置はサッリ時代には見られることはなかった。しかし、ジョルジーニョという稀代のアンカーを失った事実は大きく、アンチェロッティはアンカーを置かないシステムを採用。しかしながら、組み立て時にはサッリの残した絶妙な距離感を大いに役立てている。また、ドリース・メルテンスをスタートで使いたいという誘惑にも負けず、基準となれるミリクを採用。ミリクは複数のプレーを高いレベルでこなせるため、この試合に欠かせなかっただろう。途中交代のメルテンスがサイドにフィルジル・ファン・ダイクを引っ張り出して先制ゴールに繋がったことも非常に印象的だ。


名前:菊池大将
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幼少期に父親の影響でミランが好きになりました。アイドルはシェフチェンコ。パッション、データ、経済、カルチャー、サッカーの持つ様々な表情を見るのが好きです。よろしくお願い致します!

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